スパイダーマン3見た。
- どんな話か?
登場人物が全員、テメーのことで一杯一杯な連中ばかりなので、他人の話なんて聞きゃしやがらねえから、どんどん誤解と錯誤がひろがって、しっちゃかめっちゃかになるシチュエーション・コメディ。
よって、ゲラゲラ笑ったわけですよ。
「スパイダーマン」は基本的にボンクラ映画であって、非モテ系の主人公が頑張ってしまうストーリィで、つまるところあの茹だったエビの如き色調の赤いコスチュームは童貞くんの仮性包茎を意味しているのです。
ところで、コスチュームはDT(ドーテー)フィールドというステキワードを思いついたのでついでに書いておくと、そうなると毎度毎度クライマックスでにょっきり頭のコスチューム部分がとれるということは、一皮剥けたということですかな(わはは)。
えー、さて、今作では割と有頂天になったスパイディです。活躍しすぎて、街のヒーロー認知。どころか、アメリカ星条旗を背負い、戦う英雄扱い。
なんせ名誉市民賞とかもらっちゃいますからね。で、これまでパっとしなかった主人公ピーターくんは、当然のように「オレ、天下獲ったぽくね?」とまるで売れてしまったロックスターかラッパーかボクサーのように調子をこくわけですが、その象徴がベノムによる黒化、通称「ヤリチン化」であり、
ヒロイン・恋人=MJとすれちがってしまったら、即座に他の女に走って、あまつさえ元カノの働いている酒場にわざわざ足を運んで「どうだーーー! オレはモテる、モテるんだよーーー!! てめーなんかな、たんなるビッチ系ビッチだーーー! オレにひざまずけーーー!」とアッピィールしてしまうピーター君のはっちゃけっぷりはそれを見ている劇場全体に漂った微妙な空気感*1を見れば、「ご察しください」的な一目瞭然さであり、となると、最後の最後で放たれた「あなた、誰なの?」というMJの一言は、確信犯的なサム・ライミとトビー・マグワイアの悪ノリをまとめあげる「吉本芸人もかくあるべし」ツッコミにほかならず、大爆笑の嵐なんですが、
あっれーー? 誰も笑ってねーぞー?
ていうか、今作は妙に評判が悪いらしくて、あっれーー? おかしいなー、こんなに面白いのに、なんで皆笑わないの? すっげー面白いコメディじゃん。
だいたい、今回、稀少なシリアスなストーリィラインである「ニュー・ゴブリン」ルートでも、「まず、スパイダーマンの心を攻撃しれ!」といわれたら、「MJといちゃいちゃして、ピーターをヘコませる」って、ちげーーよ! おまえ、情熱がビバリーヒルズの方向に向かってるがなーーー! 挙句の果てに、やさぐれて、ヤリチン化が進んだピーターにボコにされて、シグルイ用法におけるところの「伊達」な顔にされちゃうし。
その空回りっぷりにも爆笑ですよ。
とにかくこの「スパイダーマン3」。他人の話を聞かない連中で構成されているため、ひたすらキャラの行動が空回るストーリィで、ほとんどコメディ化してしまっているので、2みたいなヒーロー物を期待すると痛い目に遭うのかもしれないなー、と思いました。詰め込みすぎたせいか、脚本にもムリがでてしまっていて、やりたいことを詰め込みすぎていて、とりあえず「女、拉致っとけばオチるだろう」な安楽さも目立つといえば、目立ちます。
でも、面白いんだけどなー。
この作品、超カッコイイ「スパイダーマン」の物語として見るか、それともダサいけど、けどどうにか目一杯背伸びしようとする「ピーター・パーカー」の物語として見るかで、評価が分かれる気がします。