三丁目の夕日

 二回目観ました。邦画はデビルマン・ショックのせいで、先入観なしではもはや見れなくなったんですが、友達にムリヤリ連れて行かれて観たら思っていた以上に良い出来で感激しました。くだらねえ純愛モノかと勘違いしてました。
 繰り返して見るとちょっとがっかりするようなアラがありますね。昭和三十三年にせせこましく生きる住人にスポットをあてている、というよりはむしろ、主要な人物の「人情」を見せるためというか。具体的に言うと、氷屋のおっさん(ピエール瀧)についてはもっと語るべきだったろうし、少年の作品に対する盗作にももっとフォローが必要だったろうし、医者のサンタ演ずるくだりも、クリスマスに向けた失われた家族への思いを押して欲しかったなあ。こういう作品ってハリウッド作品とは違って、別にテンポがスローでも問題ないんだから、丁寧にやってほしかった。
 要するに主要メンツを写すことに気をとられすぎというか、業界の中にある商業主義ゆえに「人気俳優」とか「人気女優」だとかにとことん甘いツクリというか。全体のエピソードとしては本当によくまとまっていたんだけど、個々のパースが足らず、このディテールの薄さってのは邦画全般にいえる欠陥だよなあとか思ったりします。