ゼノサーガエピソード3をやってるので、所感とか。


 風邪引いて熱が出てきたので、決算前のドタバタも終わって今日明日と有休消化ついでに遊んでます。

 グラフィックはかなり好み。戦闘もサクサク行くので、好印象。システム周りも快適で問題なし。


 
 ゲーム的じゃない部分においては、ボリュームはあるけど、相変わらず、かなり大味で、批判しようと思えばキリがないぐらい。


 ストーリーは、「まあ、なんて相変わらず節操がないのかしら」と有閑マダム風に微笑むしかない。
 流行モンをガンガン取り込んでいく姿勢は素晴らしいんですが、ネットワークのビジュアルがまんま攻殻機動隊だったりとか、露骨すぎて腰が抜けそうになりました。
 中身に関しても、エンダーとかハイペリオンの世界観に庵野秀明なんかの衒学趣味を取り込むとこうなるのかな、と思った。僕もわりかし設定大好きっ子ではあるんですが、西洋神秘主義に関してはすでに決まった意見を持っている人間なので、カッコイイ字面だけ並べられても、ヌルすぎて話にならない。ダ・ヴィンチ・コードですらヌルかったぐらいだから、やるなら宇月原晴明ぐらいやりきってからにしてくれよ、と思う。確かに製作者は色んな資料に当たってそういうネタを知ってるんだろうけど、それ以上のモノではないわけで、カッコイイ神秘主義的な単語をただ並べているだけなんだよなー。
 言葉を媒介にして真理に迫っていこうとする神秘主義を曲解しているようにしか見えない。ぶっちゃけ、用語に出てくる随所からの引用って、別に造語だったって困らないわけで、田中ロミオの「最果てのイマ」の方がよっぽど真摯にその辺りに取り組んでるぜ? 同じゲームクリエイターなら、ベイグランドストーリーの世界設定とか。
 佐藤大輔風に言えば、「スペックを暗記することこそ知性の現われだと信じてる厄介な連中」なんだよなー、結局。
 まあ、そういうわけで、カナンとかシオンなんかを自覚的に人名にする時点で、吐き気がするのは必定。いいんだけどさ。ゼノギアスからの付き合いだし。展開それ自体は、実に少年漫画チックでおもしろいし。面白けりゃなんでもいいし。


 ていうか、このゲームを通してプレイしている本当の目的は、ほとんどアレン君の恋愛模様を眺めるため。ガンガレ。スゲーガンガレ。つーか、序盤の展開における僕とアレン君のシンクロ率は400%を突破してます。超ガンガレ。

 
 しかし、悲しいことに、彼の思い人はまったく空気を読まない人でした。
 主人公なんですけどね。その人。シオンって名前のね。
 まー、こいつがねー、超ビッチなのね。ビッチ系ビッチとしか言いようがない。そういうアマ公なんです。
 確かに、アレンくんも優柔不断でいくらかどうしようもないやつなんですが、それをはるかに上を行く、このシオンのすごさ。
 昔の男をいつまでも引きずっていて、明らかにデート中なのに、昔の男の話をし始める、そんな女。
「昔、あの人とここに来たわー」て。まるで「あんたといるより思い出の方が何倍もマシだわー」と言わんばかり。ダメだーーー、アレンくん。君の目の前にいる女はメンヘラ一歩手前だーーーー!
 つーか、この後も、空気の読まない言動ばっかり。
 このシオンさん。とにかくグダグダウジウジ悩むんですよ。で、それを内面にとどめているだけならいいんだけど、わざわざ口に出す。持病の頭痛で倒れてみたりするし。
 行動の一つ一つが「かまってよー」と言わんばかり。頭痛で倒れそうになった後、「大丈夫?」って心配した仲間が尋ねると「大――丈夫――」とか明らかに「私、全然、大丈夫じゃありませーーん!」と宣告した後で、ほんとに倒れてみたりとか。「皆に取り残されちゃったみたい」って台詞をわざわざ「皆の前」でしんみり言っちゃってみたり。
 まずまともな社会人のやることじゃない。
 典型的な幼児性のかまってちゃんタイプ。こいつはヤベーーー! サークルクラッシャー女の臭いがプンプンしやがるぜーーーーー!
 つーか、何よりおっかないのは、これでもう二十代半分過ぎてるはずであること。そこそこ分別ついてるはずだし、元・エリートで地下運動に関わってるっていうぐらいなんだから、情況処理能力は抜群のはずなのに、誰よりも冷静なやつに「逃げろ」って言われてのに、ギャーギャー喚くだけで他に何もせずに、逃げようとしない。マジおっかねー。こいつマジおっかねーよ。なにがシオンだ。全然、平和じゃねーんだよ。 
 まあ、アレンくんこそが無償の愛の持ち主ってこった。



 上記したのはほとんど冗談ですが、マジメな話として、表現媒体の限界なのかなー、とは思います。挫折→葛藤のプロセスに入るとどうしても内面描写を避けることが難しい。
 すると、映像メディアだとどうしても全部モノローグで言わさざるをえない。ましてや、未だに映像作品として不完全であるゲームっていう分野だと、キャラクターが細かい演技をできないし、小道具で仮託するにも限度がある。
 モノローグを随所で入れざるをえなくなるから、物語がそこで止まってしまう。これがかったるいし、ウザイことこの上ない。
 こういう心情パートこそ客観視することが簡単な文字媒体で引き受ければいいのになあ。
 ケビンとの情事のくだりなんかは(気取った長台詞がウザいし、あまりにベタすぎるものの)二人のかつての関係が伝わってきてよかったけど、アレンくんとのデートのくだりはさすがに引いた。あれをシリアスな20代の恋愛劇としてやってしまうスタッフはヤバイと思った。少なくても同じ二十代としては耐えられない。え? 20もとうに過ぎて、ゲーム如きにマジになんなよって? そりゃごもっともだ。