嗚呼、それにしても……


 ……ライトノベルが書きたい。無性に書きたい。書きたくて書きたくて仕方がない。

 
 すると、ぼくのなかの理性がそれを押し留めます。
「やめなよ。そんな非生産的な遊牧民的発想!」
 しかし、理性は理性でしかないので、所詮、ぷりみちぶな本能には勝てません。
 代わって、熱情がそれを後押しします。
「一体全体、どんなものが書きたいんだい?」


 ……そうねえ。「ジャイアントロボTHE ANIMATHION」のような話が書きたいわねえ。友人に押し付けられて、うっかり見ちゃったから。ついでにドップリハマッちゃって、DVD全巻アマゾンで買っちゃったから。さらにいえば、元ネタめぐりをして、インターネットの魔窟たる所以を知っちゃったから。
 でも、ただ単にGロボを意識するだけじゃあ芸がないから、そこにアラン・ムーアフランク・ミラー的80年代アメコミ空気を加えたいわねえ。最近、これにもどっぷり浸かってるから。


 具体的に言うと、


「草間大作は無邪気なガキのまま、ムテキ最強のロボを操っているけど、その影で血反吐やら糞尿やらゲロをブチ撒けながらバタバタくたばっていくヒーローズがいて、
 そのことを少年には知らせないようにする優しいお姉さんキャラと、その事実を暴露したくてたまらないちょっと頭のネジが緩みがちなお兄さんキャラがいて、
 様々な葛藤の末に、自分の大活躍の陰でくたばっていくヒーローたちの存在に気付いて、残酷な真実を知って、発狂して、
 その精神的軋轢の中に滑り込んだBF団にうっかり寝返ってしまって、ヒーローズの怨嗟を一身に背負ったりしながら、ついに『ヒーローを殺せない悪役』に目覚める物語」
 

 が書きたいわねえ。
 どうかしら? 『悪役を殺さないヒーロー』を目指すよりすっきりすると思わない?


 だいたいから、あたくし、「敵を殺すか殺さないか」でうじうじ悩むヒーロー未満には虫唾が走るのよね。まあ、相手をばっさり殺したがるヒーローも同じぐらい嫌いだけど。
 これは要するに、奈須きのこ世界における「ヒーロー像」が性に合わないってことかもしれないわね。どうしてかはまだ上手く言語化できないんだけど、ケツから腕突っ込んで、奥歯ガタガタいわせたくなるの。不思議よね。
 

 え? どうせ書くつもりもないんだろう?
 イヤねえ。あたくし、おおいに本気よ? この血走った目をごらんなさい。ね?