ヘルシングOVA三巻

 最近、物語に速い遅いがあると考えるようになっていて、それは直感的に「あ、これは速いな」とか「これは遅い」というものなんですが、例えば、最近見たアニメーションでいうと、コードギアスはやはり速いし、ハルヒも速い。全体的に最近の良質なアニメーションはほとんど速いと思うんだけど、武装錬金は遅い。ブリーチは激遅。ナルトも遅い、というふうにジャンプアニメ(つーか、無難なツクリの原作アニメ全般)は遅いように感じる。後、古いアニメーション(特に富野アニメ)も遅い。


 んで、なにが「速さ」の理由かというと、まあ、直感的なものなので、色々(ex.作画が微妙でキャラの芝居がもたついているとか、「もりあがれ」的な演出が成立しているからだとか、上手いことテーマ的な軌道に上手いことのっかったストーリィの回転力が速いとか)ごたまぜになったものなんですが、要するに物語(前述した諸々の総和としての「アニメーション」と同義)が速いということかなーと。


 まあ、前述した作品の個別具体的な検討はそのうちやってみたいと思うんですが、そんななか、群を抜いて「遅い」と感じるのがヘルシング


 いや、面白いんですよ。質もすこぶる良い。作画はさすがだし、声優さんの演技は揃いも揃って化物ばっかだし、しかし、遅い。
 なんつーか、見ていてずっと、製作者から「ここは、これでいいですか? こうで間違いじゃないですよね? あの巻のあのページのあのコマのあのワンシーンですよ? あってますか?」と、シーンが変わる毎にいちいち訊かれているような気分になる。


 無難なツクリの原作アニメの極北というか。原作を忠実に再現しすぎて、これはこれで職人芸だと思うんですが、昔、アニメを指して「動くマンガ」という表現があったように記憶しているんですけど、本当にマンガを動かしている作品は初めてというか、さすがにこんなものを見ていると「なにもそこまでやらんでも・・・」とか「そら毎回毎回こんなことやってたら当然、延期に次ぐ延期になるがな」と感心を通り越して、呆れてしまうほどでした。