近況

弟を亡くしました。
今、帰省して収まった棺のまえで火の守をしながら目の前にいるんですが、その前日、仕事中に訃報をうけて、駆け足で病院いったんですよ。一人暮らししてて車で40分ぐらいのとこにいたから。そこで、死に顔見てから、田舎から飛び出してきた両親なだめて、んで、帰ったら心配した彼女がいて、部屋でふつーにしゃべってたんです。あーこれでめったなことじゃ死ねなくなったなーとか。親に孫見せるの、オレの義務化しちゃったじゃんとか。半笑いで。
そのへんでね、びっくりした。
感情じゃないんだなーって。
頭の中じゃぜんぜん考えてるんですよ。
あー、おれ今日ぜんぜんメシ食ってねーや、ラーメンあったな。つか、緊張してたから疲れた。もう寝たいなー。明日の午前中、会社に出て休む間の仕事の段取りつけないとなーとか。
そういうこと考えてるんですよ。
でも、腹の底から泣いた。
彼女の膝にうずくまって。で。一方考えてる。あー、泣くって気持ちいーなとか、あ、これってクライベイビーサクラじゃん、みたいな。
そんなこと考えてるのに、とまらない。声あげて、初めて泣いた、
多分、そのときは、感情とか理性とか、そういう小賢しいもの、後天的なものをねじふせて、原始的な喪失感に多分、震えたし、ビビってたんだろなって思います。それまでに共有した、共通の空間だったり時間だったりするその少なからずの領域の消失に。
これって獣のような恐れなんでしょうね。
で、そのあと打算が駆け巡るんですよ。ああ、これはこれでこいつの天命なんだろうな、ああ、そうだ。色んな段取りについて家族できちんと話し合いしないとな、そっか会社休めるなーみたいなのがナチュラルに出てくる。
多分、このとき動物と人間を隔てる垣根みたいなのを行ったり来たりして、その敷居をまたいだりしたてたような。
こうして目の前に座っていて、理由もなくこみあげるものがあるかと思えば、すっと溜飲が下がっていく。
現実感と手ごたえのなさが入り混じって、ふわふわした気分。
しばらくこんな感じが続くんだろうなあ。