Mr.インクレディブルを見る。

「だいたいからさー、家族とスーパーヒーローって相性のいいテーマだったんだよね」
「X〓MENのサイクロプスのガキの話とかそうだよね」
「いやいや、パラレルの方を扱うと、ケーブルはおもしろキャラすぎるんだけどね。つーか、X〓MENは、原作がもうなんか混沌としすぎてるから、この際、却下。映画の方の絡めて論じてもいいけど」
「映画のX〓MENといえば、学園生活があったじゃん」
「あるね。クラスの喧嘩とかマジこえーだろうなぁ。コロッサスとアイスマンパイロの三つ巴喧嘩とか想像するだけでワクワクする」
「コロッサスが全身鋼鉄化、おおーっと、ラリアーット! これは重い! 硬い! まるで鉄の塊をぶちこまれたかのようだーー!!」
「実際、金属だし」
アイスマン吹っ飛ぶーー! だが、背後に雪を作り出して衝撃を和らげるーーー!!。おおっと、いつの間にかパイロ、ライターをカチカチ慣らしながら、にやついている! やるか! やるのか! 出た! ファイヤーーー!」
「おい、聞けよ。シカトかよ」
「ん? なに?」
「お前がX〓MEN好きなのは分かったから、話進めよう」
「ういっす」
「んで、これは見ていて楽しい映画だった」
「うん。ビジュアルでヒーローを見せまくりだったね。っていうか、お母さんが頑張りすぎ! 文字通り、体張って笑いをとりに行き過ぎ。後、お父さん、随所で役に立たなさすぎ! ほんとダメなひと!」
「あれは結局、お父さんはいつだって家族に振り回されるっていう意味なんじゃないの?」
「基本的に自業自得だけどね。ことの発端からして『俺はすごかった! 俺はスーパーヒーローだったんだ! 昔の栄光を! 俺に、オリジナル・グローリーを!』だし」
「そのへんもまさにオヤジだよねぇ」
「オヤジ的といえば、途中から昼ドラテイストになるのも笑った」
「あのへんはシチュエーション・コメディで、実にアメリカ的っていうか」
「しっくりこない家族、しょっぱいスーパーヒーロー、だけど、本気を出せば、俺達最高だぜ! っていうのは、まさにアメリカの父系の回復だったんだろうね」
「でも、お母さん、頑張ってたじゃん」
「いや、だからさ、お母さんは、問答無用で最高なの。子供を守るのも何するのも全部、お母さんじゃん! 母は強しっ。そんなことはもうとっくの昔に分かってて、今の世の中は、パパはどんどんショボくなっていくから、ばしっと『おー、オヤジすげー! ここ一番でびしっと決めるなあ』って思わせるのがこの映画だったわけよ」
「まあ、一番おいしい思いしたのは、結局、Mr.インクレディブルだし。ヒーロー業復活。しかも家族全員で」
「これって続編出ないのかな?」
「さあ? でもスピンオフでもいいから、是非とも見たいね。ジャックジャック破壊王列伝とか、ダッシュ暴走珍道中とか、バイオレットの暗黒四谷怪談とか」
「最初の二つはなんとなく分かるけど、最後のはなに?」
「いや、ボーイフレンドに振られたバイオレットが超能力でボーイフレンドを輪切りにしちゃうの」
ジョジョのソルベみたいに?」
「あるいは、ザ・セルの馬みたいにね。で、ボーイフレンドの体を夜な夜な数えるバイオレット。しかし、顎の部分が足りない。そこで」
「そこで……」
「ごめん。オチ考えてなかった」
「……」