エアマスター最終巻を読む。


 あまりに惜しい作品でした。多分、散々、そこらで言われていると思いますが、ラストの渺茫とマキの「あっちの世界」っぷりが読者をガシガシ離していってしまったのがなー。
 他のキャラの情念っぷりに比べて、ラストを飾る二人の妄念が足らなさ過ぎたというか。完全に消化試合化していたのが、もったいなさすぎるというか。

「じゃあ、どういう戦いがよかったんだ?」といわれて、
「そりゃもうマキはともかく、とにかく渺茫につきますよ。個人的な妄想を言わせてもらえば、暴走して歴代渺茫にのっとられる現・渺茫。そこで挿入される柴田ヨクサル的ナレーション。『果たして、最強とは何か!?』 を一席ブチあげたあと、現・渺茫が内部に潜む歴代渺茫を次々と撃破しておく。スキンヘッドをかきむしり、血管ビキビキの(バビディベジータみたいに)イカレた顔で、『オレが史上最強だーー!』と絶叫。地鳴りを起こす廃墟。『渺茫っ!』と涙する付き人A。気が膨れ上がって、崩れかける廃墟。で、ここで付き人Aと渺茫の関係が明らかにされる。渺茫の名を背負わされて、最強を担うことが枷になっている渺茫は、『渺茫』という役割から解き放たれて、まさしく最強の男として立ち上がる。ここでも泣く付き人A! で、『待たせたな』とマキに向き合って、最終決戦。
 そういう具合に、ブン殴ったり蹴たぐったりしながら、今度はエアマスターとマキの人格乖離を描く。『なぜ戦わなくてはいけないのか?』を超スピードで語り終えて、ぶっちぎったエアマスター・マキが最強渺茫を全盛期のリーさんばりの気迫で撃破。後の流れはおんなじ。以上。こんなんだったら、オレ的には最高でした……どう?」
「明らかにドラゴンボールの読みすぎです。いわゆる『少年漫画脳』症候群だと考えられます。ジョジョの奇妙な冒険・第四部といちご100%を代替薬として処ほうしておくので、それぞれ一日一回、四十日間は継続して読むように」といわれました。