「fate/stay night」を見終わる。

 合間を縫って、ちくちく見てました。
 手堅い良作だな、と思いましたが、不幸なことにこのアニメは製作が決定した時点ですでに、敗北もまた決定していたのです。なぜならば、圧倒的に「ぼくの考えるふぇいと・すてーないと」の方がおもしろいからです。
 これは原作にしてからそうですし、大元の月姫にしてもそうなんですが、奈須きのこの作品はいかんせん隙が多すぎます。
 中二センスを刺激しすぎる単語の羅列に基づく勢いで流しきるそのパワーは、エヴァにしてもそうですが、あまりにも妄想の余地を残します。それはつまり、どこをどう切ってもフェイトでしかありえない現象を引き起こし(このため、2chライトノベル板において「月姫のパクリが増えましたね」なるスレッドが立つ)、「オレのfateの方が絶対おもしろい、アニメスタッフはオレに土下座しろ、ていうか奈須きのこもたいしたことねえよ」なるステキな中二発想が自然と立ち上がってくるのです。
 奈須きのこの優れた点は説明文でもストーリテリング能力でもなく、まさしく読むものを、誰もが心の中に持っている中二センスにアクセスさせる豪腕なので、結論を言えば、「中二病、なめたらいかんぜよ」だと気付かされた秋の夜長のことでした。