その二

  • ユナイテッド93を見た。
    • 見事なギリシャ悲劇だった。現代カタストロフの導き方のお手本のような作品だと思った。
    • 現代をボーダーの時代と捉えるか、ボーダーレスの時代と捉えるかでこの作品の解釈は大きく違うんだろうな、と一緒に見てた友人と話す。
    • 僕は、現代はボーダーの時代で、多分にタブロイド思考な皮相的モデル化が個人の手触りによって数多の事象の意味が簡単に転換させてしまい、残されるのは個人的好悪や趣味性だけがコアとなって展開する強固な境界線がせめぎあうレイヤーの集積だと思うので、この作品は認知化していない他者同士がそれぞれのボーダーを踏み込んでしまった瞬間、破断して拡大も収縮もなく、ただ妥協線に落ちていく無残な悲劇だと解釈。
    • 一方、友人はボーダーレスの時代では、全体がフラットな領域のなかで特に濃度の高い場がコミュニティとか日常とか呼ばれているけど、意思ポータルによってどこへでも繋がっているバックドアを伝って、その濃度の高い場所に穴を開けてくることがあって、予期されていなかった侵食が発生し、穴から濃度が流出してしまい、それまで濃度の高さゆえに見えなかった事態が表出して、日常を脅かすものだと見ていて、ヴォーカルマイノリティの声が形質を得ることで次世代が可視化される物語だという風に解釈。
    • 後者の方がモデルとしては優秀だと思うんだけど、あまりにも世の中が不定的すぎるので気に食わなかったりする。一方、自前の説だとバックヤードというかクロノマネージャーというか、アーカイブというか、とにかくそういう背景としてのプレ・レイヤーの広大さが問題になるので、結局、後者のフラットな世界に近づいていってしまうような感じで、いまいち。難しい。


話の流れでアクチュアルな問題について

  • 地方商店街とデパート。
    • デパートに人が流れて、地方商店街がぶっ潰れ、税収ダウン、地方財政ダウン、地域住民全体の収入がダウン、巡り巡ってデパートも収益ダウン。共倒れ。極端に単純な流れだが、かいつまんでみるとこんな感じ(らしい。詳しくは知らん)。
    • 新自由主義アナーキーで思想としては笑えるほど好きなオレ。一方、リベラルな友人は激怒。まあ、ねえ。修正資本主義はねえ・・・。
    • この辺、高級官僚の間では、国→地方の(良くも悪くも)どうしようもない流れをぶった切るリスクとかはどう考えてるんだろ。官僚系ブログを見た感じ、ケインズはねえ・・・みたいなふいんきなぜか変換できない)だけど。メガポリス=国家なのが現状、お荷物=地方を切り離したいキモチはよく分かる*1
    • フィクション的なおもしろさを追求すれば、「YOU、やっちゃいなYO」で、外郭都市TOKYO、OSAKAなどの自閉的独立によって、ゴーストタウンになる田舎町。マッドマックスとかマカロニウェスタンふいんき(やはり変換できない)。バ、バイオレンスジャーーーク! 実は、この世界は魔王KOIZUMIのトラウマ解消劇として造られた舞台だったんだよ! な、なんだってーーー!? あ、なんかおもしろそうなんですけど。誰か、書きません? 「オルタードカーボン」とか「マルドゥック・スクランブル」のテンションで。
  • 広告業界
    • ネットビジネスは縦横に広がってるようなことが言われてるけど、ほとんど広告業だ。たいがい寄生虫的というか。
    • 気付いたのは、「タダコピ」辺りから*2。既存インフラにのっからないネットってなにができるのか? を改めて考えてみたい。
    • つーか、広告業ってぶっちゃけ意味あんの? っていまだに思うのは、最初からそれが横たわっていることが前提になっていて、その上で自分からマスメディアにのっからないインフォを求める傾向にあるからなのか。
    • まあ、来るべき07年以降の団塊ハッピー・バブルの内用を考えると、「ゆりかごから墓場まで」がモットーの大多数には狭いメディアでのアプローチよりも、やっぱりマスなほうが訴求性はあるんだろうな、と思いますが*3。技術的にもその後なのかな。メディアの訴求範囲のシフトが起こっていくのって。

*1:ガンスリンガーガールの元ネタにもなってるイタリー北部の独立運動とか

*2:友人からは「遅っ」と云われました

*3:広いデータとして調べたことはないんですが、身近な範囲でいくと無趣味率がすごいんだよね。自分の父親=団塊世代って