「機動戦士ガンダム第08MS小隊」を再見す。


 初めてみたときは軍務をこなしていく過程が秀逸な一巻二巻に心を奪われたのだけど、今見ると3,4巻の個人間の心理的ギャップを埋めていく話に感動する。
 ちょっと以前から自分のアニメに求める性質が変わってきてるとは自覚してた*1んだけど、それが決定的になった。涙腺が緩んで困る。
 七話のアイナ・サハリンが錯乱したシロー・アマダに投げ飛ばされて、なお気遣う言葉を放つところとか、「なるほど。これが今流行の母萌えかっ!?」となぜかシャア台詞で膝を打ちました。可愛いですよね。アイナ。
 昔は、彼女の甘ちゃんオブ甘ちゃんな挙動には「何だこいつ」と思ったのだけど、「そういうのはどうぞ修道院でやってくれ」と考えていたのだけど、一貫している青臭い態度と行動はよかった。にじみでる聖母の発露とあわせて、非常に美しい抽象化。
 逆に今度は、昔はそれほど違和感を覚えなかったシローの「オレは何のために戦っているのだ?」という疑問への試行錯誤がダメになっていた。
 「ジオン憎いため→軍務のため→理想のため→仲間のため→惚れた女のため*2」の流れはいいんだけど、一つの連続した劇としては詰め込みすぎかなーと思った。
 劇中のタイムスケールが分かりにくいことと、心理が移ろっていった過程に持ち込まれる出来事が象徴的すぎて、優柔不断な性格だけが際立ってしまったように見える。この辺り、いかにも一昔前の「懊悩する主人公」像なので、ちょっと合わなくなってきてるのかもしれない、と思った。
 かといって、あんまりハードな性格になってしまってもつまらなかっただろうし、うーん、難しい。

*1:この間、ラピュタを見ていて、出てくるロボットのあらゆる動作が泣けてくると気付いた。生き残ってしまった滅びの美学というか

*2:あ、自分のためがその前にあるか