ビリー様がみてる。
「ワンモアセッ」
「ワンモアセッ」
暑苦しい掛け声が、四畳一間の部屋にこだまする。
液晶画面の前に集う老若男女が、今日も基礎訓練中の新兵のような顔で、充実した55分を過ごす。
疲れた手足を包むのは、ビリーバンド。
部屋の調度を蹴っ飛ばさないように、DVDの再生速度に遅れないように、リズムカルに小刻みに動くのがここでのたしなみ。
もちろん、訓練内容をリバースしたりスキップしたりする、はしたない新入隊員など存在していようはずもない。
ビリーズブートキャンプ(原価39.99ドル)。
1955年生まれのビリー・ブランクスによって、もとは新兵養成のためにつくられたという、様々な格闘技の型を組み合わせたフィットネストレーニングである。
世界中のあらゆる一室。セレブの豪邸から一人暮らしの狭いワンルームで、雄雄しい壮年黒人に見守られ、一週間の一貫したトレーニングを受けられる肉体の園。
訓練が終わり、いつものようにダイエットを諦める新兵どもでさえ、一週間通い続ければ、と思わせてくれるビリーの言葉が貴重なダイエットメソッドである。
「キャニッ」
「キャニッ」
「ヴィクトリーーーッッ!」
思いついたから、書いた。「マリア様が見てる」は一巻しか読んでない。ビリーズブートキャンプもAAとまとめサイトでしか知らない。反省もしていない。
ところで、文中で一箇所、明らかに事実関係が間違っていますが、文章として収まりがよかったので見逃してください。*1