CYNTHIA THE MISSION(著:高遠るい) 1〜4巻まで読む。

 以前から、「月姫 meets バキ」だと薦められて、ネット界隈でもちらほら話題にのぼっていたので、このたび購入。
 最新刊は近所の本屋に売ってなかったので、明日、仕事の途中で買います。荒んだ外回り生活には潤いを! 
 あ、そういや、「GIANT KILLING」の二巻も明日だったっけ。

  • 感想

 月姫とか戯言のような何かとギリギリな世界観=主要人物がもつ倫理観/マイルールがセカイの全景ってよくよく考えてみたら、バキ世界とよくマッチするんだなぁ、という話。あの作品も要するに我を通す話だし。 
 最初は、「月姫的論法のなかにバキ文法が混じってる」って云われて、「それは本当に幸福なマリアージュなのか?」と不安を感じたんですが、なんのその、ひたすらハイテンションで面白い。
 

 確かにこれを批判するにあたり、戯言や月姫のような「物語のための物語」であるとして、「いかにも今風」「ゲーム的だ」と嫌悪を謳うことはできるかもしれませんが、そう云ってしまうにも、あまりにもストレートな作者の情熱が上回る。

「オレは夢枕獏板垣恵介が好きなんだよ! その上で、語ってやろうじゃねえか! オレの物語をよぉ!」
 そういうセンス、大好きなんですよね。自覚的なバカ話は、だからこそ面白い。


 ところで、二巻中盤辺りから作者が抱える物語の延長線上にある問題意識とロジックが見えてくるわけです。
 つまり、社会の外側と内側=社会規範と個人信条の対立。
 んで、そのテーマを示すために作中で用いられる端的な例示が「殺人の是非」で、マイルールとアワルールが「殺人」を起点にして対立します。
 三巻以降引き継がれる主人公の「脱・殺し屋」問答然り、二巻でのナチュラル殺人鬼のロリとナチュラル喧嘩屋の少女の闘い然り、一巻での超能力少女が起こした社会悪への断罪然り。
 この二元論はピカレスクによくある発想なので、手垢にまみれてはいます。しかし、いかにも今風のコギレイな絵とパロディやコミカルな描写で牽制しつつ、時折「どマジな直球」を投げ込んでくる感性が素晴らしい。
 この辺りはなんとなく「BLACK LAGOON」や「HELLSING」にも似たケレン味を思わせました。


 いいモノを読んだのだと思います。