知り合いらとダラダラと駄弁る。

「はい、本日はわたくしが死にかけて死にかけて、あと死にかけているところにようこそいら」
「しつけぇよ、ばか」
「うるせえよ、ばか」
「調子よくないところにおしかけて悪かったよ、ばか」
「いえいえいそんなことはおかまいなく、ただひとつだけお願いすれば、前日まで39度も熱出してうんうんうなっていたし人生で初めて扁桃腺腫れてる人間にホスト兼コックとしての機能を期待すんなボケども、ぶっ殺すぞ、このクソボケどもがぁ!!」
「ああぶな、包丁マジあぶな」
「やめてやめてもたないでもういいから」
「わたくしどもで誠心誠意やらせていただきまちょほんとそれやめろって」


 んで数十分。
 たらちりなど囲みつつ、



「今日、オレお話パスね。食ったらさっさと薬飲んでちゃっちゃとシャワー浴びてぱっぱと寝るから」
 といって一人離脱。以下、残り三名の駄弁り。
「あーい。…んで、いまって、なにが流行なの?」
「それはセケン的に? ショーバイ的に? ネット的に? オタク的に?」
「あれじゃない? アニメ中抜き」
「ああ、あれか。個人的にはどうでもいいんだよねー。なんだっけ。概要としては 製作費が5000万あります。そのうち実際に現場にまわるのは1000万円もないです。さー、アニメータは貧乏だ、コンテンツが枯渇する困った困った、でしょ」
「それほんと、その理解で正しいの?」
「最後の段はいろいろ変わりそうだけどねー。大筋はあってる」
「最後の段?」
「コンテンツが枯渇して困るっていうとこまで認識してるひとはどんだけいるのかって話」
「どゆ意味で?」
「ほれ、著作権ビジネス云々かしましいやん? 最近。それで海外輸出のキラーコンテンツとしてアニメに期待してる人的には、コンテンツの枯渇は困るよね? それから、単純に人手が足らなくて粗製の質の低いアニメばっか放映されるのもコンテンツの枯渇で困る。今のはコンテンツのホルダーとカスタマーの違いによる態度の違いで、こういった具合にいくつかレイヤーがあるにも関わらず、ごっちゃにしてるひとが多いっすよねって話」
「でも、根っこは一緒じゃないの?」
「ああ、要するにアニメーターさんの雇用環境が劣悪だってとこ?」
 そこで離脱した一人、唐突に口をはさんで
「ボクモコノ一カ月バカシ、劣悪デシタヨ? 遠方エリア担当の営業メェンなのにプログラマのような生活を強いられてるよ」
「入院しろ」
「入院しろ」
「入院しろ」※*1

「・・・なんの話だっけ?」
「ああ、アニメーターさんはかわいそうよねって話で」
「ボクモ…」
「うるせえ、ばか」
「なんでアニメーターの貧困の話になったんだっけ? 手塚治虫の話でもしてたっけ? でも、あれって当時の賃金としちゃ悪くなかったって話もなんか見たような」
「え? そうなの?」
「や、ごめん。ちゃんと事実ながめてないからなんともよーいわんのだけど。なんかそんな話をどっかで読んだような」
「だとしたら、俄然興味深いよね。なんにしたってどっかでダンピングがあって値崩れたんだろうし」
「やー、思うんだけど、下請けの映像制作プロダクションの金まわりってさー、実際こんなもんだと思うんだよねー。じゃあ、アニメがなんでこんなピックアップされんのっていうと」
「ネット?」
「それもある。プラスあとは、アニメーターってさ、職人ってイメージじゃん? しこしこ机に向ってこまい仕事してさ。そこになんつーの一種の神々しさ? みたいなのを感じちゃうんだろね。トップアニメーターの すごい お仕事 とか知ってると余計に」
「そこに付加価値が生じるわけだ。職人の仕事が安くていいわけがねーだろみたいな思考が働くから」
「あー、職人幻想みたいなの確かにあるしな」
「あとは広告代理店とかマスコミ嫌いだしね。ネットのファイアスターターって」
「え? なんで発火能力者?」
痛いニュースとかニュー速みたいな2chの目立ちたがりの板の住人ってそんな感じっぽいから?」
「うん、ていうか。2chのスレが批判によって高速回転するのも一種の炎上だと思うんだよね、だから、オレはいわゆる炎上ってのはうかつな発言者そのものより、そういうファイアスターターが起こすものだと思うし」
「特殊能力だったのか・・・」
「心の闇だ。心の闇」
「90年代っぽいよね」


 以下、記憶が怪しいので羅列。


 天下の広告代理店さまの中抜き構造について。
 既得権益だから(笑)で終わらせるバカは、まあ、現状を改善するつもりもないバカなのでそういうのに頭の上に座られる人は大変だけど、じゃあ、他に方法あるんかしらと言われると、まず発注してもらうだけなくそのプロダクトを発表する場も用意してもらってプロモート、拡販諸々の御膳立てまで整えてもらえるってのは、まあ、リスクが低いんだし、そこに甘えるのは仕方がない。
 けど、このままじゃ、ナメられっぱなだし、おいらはプライドがたけーし、ナメられることだけは我慢できないという新庄直衛オタク少佐肌な人にオススメな代替案としてよく上がるのが、ネット配信。
 それも従来のストリーミングじゃなくて、ニコニコなどインフラ敷き直しを要求されない簡便(と思われる)やり方。
 これでDVD売れるか? というと、誰もピン攻めしてないからわかんない。
 正直、各方面が手探り。どころか手を出すまでもなくなにもしないまま様子見状態になっている。
 理由推測:1、簡単にコピられるから。2、ネットだけの放映はプロモートがやりにくそう(ギョーカイ的に)。


 1、
 実際のとこ、ネット(youtubeニコニコ動画)で視聴するひとってほとんどがやっすいユーザー。製作者が本来なら想定している画質で見ることになんて興味ないし、流行ったものがあったら、ちょっとつまんどこうかって感じ。
 これがチェック男子現象?
 そういえば、ちょっと前に話題をかっさらった「School Days」の最終話はニコ動の視聴数がすごかったらしい。


 まあ、安さの追求は消費者の自然な形だし、クソみたいな画質でも満足できるならそれはそれで需要の形なんだろうけど、それでもタダでコンテンツを消費すんのは需要とはいわないよね、という話。
 たまに権利ホルダーが「タダ乗りやめて」って言ってる横で「その程度で需要を十分満たしてるからしかたないよね」って無邪気に言い放つ人がいるけど、権利者だって(前述のアニメーターたちの境遇のように)我慢してる仕組みで消費者もそこそこ我慢してやらないと、費用便益比が崩れた状態から発生する変化が双方にいい方向に転がればよろしいけど、一方にしか利さない仕組みに変わっちゃった時、それでも無邪気な顔をするのだろうか。
 おそらくするだろう。その時にはもう関係ない出来事なんだろし。

  • ここらへんで話が一回、飛躍して以前からしばしば話してたネット発火能力者の性質について。

 マスコミ嫌い。広告代理店嫌い。特定の思想が嫌い。
 セレブ嫌い。露骨なプロモートが嫌い。

 その割に、マスコミの露出が低かったり、プロモーション活動が活発でない人物や作品には「で、何?」とか知らん顔。
 けど、生意気いうやつにはクンロクかます
 

 ひろゆきが以前、「ネットよりテレビのほうが面白い」って言ってたのは、結局のところ、ネット文化がメディアに付随するものなんだということをよく理解してるから。テレビのおもしろさをよくわかるひとはネットでも面白いものがわかる。作れるかは別だろうけど。そして、作っても当然、それが金になるならそうしたほうがいいから、金になるほうにもっていく。

 裏を返せば、単なる一ユーザーからすると、テレビとネットの価値は完全に等価。あとは間口をどう広くとるか、アンテナをどう高くはるかだけ。そのコンテンツの豊富さを湯水のような一過性で流すテレビと貧相なコンテンツを持続的に活用するネットをいいとこ取りだけしておけばいいのでは。
 ごちゃごちゃ理屈こねて、面白コンテンツの面白さをスポイルしちゃったら身も蓋もない。そのへんはアクティブになって、食わず嫌いはいけないよね、という話は明るい精神論すぎなので、
 つまり、目指すのは従来のメディアのような一方向の漫然と情報を浴び続けることからの脱却である。
 インスタントに情報発信するツールはとっくにあるわけで、自分が面白いと感じたものを乗っける快楽に従えばいい。その点において、別にほかのひとがやってることをやる必要はなく、「よい優越感ゲーム」を楽しめばいいのでは? という話。


以下、次回。

*1:10/29の終業時間から10/31の夕方まで扁桃腺の腫れがひどくて本当に入院する破目になりました。嗚呼、仕事にまた遅れが。。。