知り合いらとダラダラと最近の漫画とかについて駄弁る。

  • ちょいと話題の・・・

「『百舌谷さん逆上する』は読んだかい?」
「読んだとも。実に甘ったるい物語であったよ」
「なんと、あの作品が甘ったるい、とな?」
「だって、主人公少女は自覚的なツンデレなのだよ。これは最終兵器に等しいと思わんかね?」
ツンデレを扱いながら、その実メタツンデレものであるためか? 劇中で示唆されるキャラクタがキャラとして自/他認されているという作品だから?」
「違う。そうではない。あくまでもキャラの心情を慮った場合のことだ。
 いいかね。ヒロインは自らがツンデレであることを知っているがゆえに、テンプレート行動しか選択できないのだ。劇中では遺伝病といったか。プログラム規定された動作は、当人の本来望むものではない。よって、私だって普通の女の子らしくありたいのに! という感情が少女にはあり、しかし、自覚的なツンデレであるがために、その望みをすでにあきらめようとして、なおもできずにいる。このアンチノミーこそがすばらしい。
 自分に出来ることはツンデレであると周囲に期待/心配/侮蔑/疎外されることであり、あろうとして、だが、それをなんとか克服しようと、七転八倒する。
 そうしてもだえる様は、そう……――なんともすばらしいツンデレではないかね!
 芳醇なるツンデレだよ。彼女こそは。思わず歌いだしたくなるほどに」
「……君は相変わらず不明な理由で、不明なものを偏愛するね――巻末漫画や近況などはどうだった?」
「いや、別に。……オタクサークルに参加したことがないので、ああいう湿っぽさには縁がないのだ」
「お互い、体育会系だったしね」
「うーん、っていうか自意識バトルで遊ぶより先に、あれもこれも喰いたかったからかなあ」
「だからっ、っお前の世代のオタクは、内省が足らねぇんだよっ。この、このっっ、動物めっっ。所詮、お前らには分からんのさっっ。オタクであるという重力井戸がどんな悲劇を生み出してきたのかはな!」
「「ら」ってなんスか、複数形で追い詰められても・・・」

「いつ終わるのか分からない不安ランキング上位に入ってるから、今まで読まなかったのに、最近購入したんだっけ?」
氷と炎の歌の第四部が邦訳されると聞いて、なんだか無性にファンタジー分が足らなくなったんですよ」
「で、どうなの。なんかBL臭があって、敬遠してるんだけど」
「ん、そんなこともなくって感じすね。確かに一人、黒髪長髪のお坊ちゃん(オプション:女装)絡みはどことなしにそちらさん好みの匂いがするけど、あとはかなり健全。ちょっと健康的すぎるぐらいっていうか。エゲツなさそうな貴族っこ同士のやり取りもあるんだけど、結局思いやりと誇りとか、そーゆーノブリスオブリッジが貫かれてて、かなりのイヤンな部分が回避されているから、そんなに悪辣でもない。展開そのものはすごい上手く転がしてくれるし」
「あ、作劇いいんだ」
「うん、ファンタジーであると同時にゲームっぽさを感じるんだけどぜんぜん嫌味じゃない。むしろ、『うはー、そことそこのラインをつなげるかー。そのアイテムとイベントを結ぶ発想はなかったわ』みたいな。ものすごいエコなプロット。使える劇中のオブジェクトは漏れなく使ってくるから、ぜんぜん油断できない。こういうのをドラマ性っていうんでしょうね」

  • 週間少年サンデー問題について

「大きく言えば、どうでもいいわけですよね。それで救われるものもあったし、救われないものもあったわけだから」
「搾取する側とされる側のどっちが悪いんだっていう問題でしかないよね」
「だって、じゃあ、これからは漫画家に還元する分を増やすから単行本の値段を倍にします。その代わり、カラー原稿とかはきちんと収録しますから、でどこまでユーザが金を出すんだっていう話なわけで」
「個別具体的にはいろんな問題があるんだろうけど、そこはそれ、どうかプロレス的にお願いしますとしか」
「あ、これって今「キーチVS」でやってる世界観だ」
「は?」
「食肉偽装問題が、だんだん飽きられてきて、たまにTV報道されると、モニタの外側で『まだやってんのかよ』っていう声があがるんだよね」
「まー、こうやって訳知り顔で駄弁って僕らだって、一ヵ月後にはほぼ忘れてるだろうしね。だから、プロレス的に魅せないとダメなんだよ。きっと」
チベット問題みたいだなあ」

「キラキラだよね」
「むしろギラギラ」
「今のご時勢にあの主人公をブツけてくるのが驚き」
「でも、鳴海→ストレイド卿ラインで見ると順当に、ああなるほどサンデーの主人公だなって思うけど」
「どのへんで?」
「ほれ、ヒロインとの絡みでギャグ描写がばんばん入るじゃん。あそこでバランスとってるあたりがサンデーの優等生っぽさがよく出てると思う」
「お伽話関連は?」
「藤田和日朗の悪夢のようなフェチが出てるよね。三匹の子豚と狼の造けいとか」
「嫌いそうなお伽話ってなんだろ」
「シンデレラとか?」
「ホホホホホとか笑いながら時限爆弾でテロるシンデレラ。「じゅ〜に時になったら帰らないとねえ、あの世にサアアア!」とか言う」
「ええ、なにそれっ!? それはいいの!? 小学館的に」
「キシシシ、とか笑いながら襲い掛かってくる王子様。ガラスの靴のヒールで「これがお前に似合うんだよオオオ」とか言いながら、頭に刺そうとする」
「ひでえ。じゃあ、白雪姫は?」
「エヒヒヒ、とか笑いながら襲い掛かってくる女王様。リンゴ型手榴弾をカゴからとりだしてポイポイポイと」
「女の子の夢も希望もねえな」
「そこはそれ、『少年』サンデーですから」



以下、次回。