攻殻機動隊2.0 を見たよ。
豊かな映像経験でした。そうだよな、映画は映画館で楽しまないとなってそんな気分になれる。
パンフレットを読む限り、もともとは音響周りをリニュアールするだけのつもりだったらしい。で、押井守がどーせならいじれるところはいじろうっていって、CGを足したり、色調を変えたりしてったとのこと。製作期間、半年ぐらいらしい。
以下、感想羅列。
音響周りは第一目的だけあって、さすがにすさまじい。めちゃくちゃ厚みが出てて、臨場感が増してる。
この音周りの厚みが増したことと、追加CGや色調の変更で総じて情報量が増えてるので、画面とテンポがかなりタイトになってる。もともとの尺がそんなに長くないのに詰め込めるだけ詰め込んでるので、スクリプト/レイアウトの密度の高さが半端ない。何度も見てるので、追いかけるのは容易だし、中盤のたるみがものすげー退屈なんだけど序盤/後半で展開が加速すると手がつけられなくなってくる。なぜこれがイノセンスでできなかったのかと・・・。
アバンーOPのオールCG部分のワクワク感がすごい。
画面始まって、一発目に踊る文句を変えてきたりとか、
イノセンスのアバンと(CG電脳世界と電警サイボーグ登場)内容をカブせたりとか、
同じようにアロワナがCGだったりとか、
細かいところで、見ている人間ほど楽しめる。
この、アバンからOPまでの情報量の多さはそれだけでも見る価値あり。
CGの入れ替え部分は相当ステキなことになってる。ただ、ヘリの移動リンクとか計器とか、そういった表示系はごちゃごちゃ感がだいぶ減ってすっきりしちゃってるので、良くもあり悪くもあり。
キャラのCG化はうまくいってるところといってないところがあると感じたかな。
具体的にいうと、最初の草薙顔アップはうまく2D化できてる。ほとんど遜色ないレベルでアニメをやってる。ほぼ止め絵だからなのかもしれないけど、そのあとの飛び込みまでも、そんなに違和感はない。
っていうのは、ここまでそんなに違和感なかったのは、アバンの作戦完了後、OPで義体の換装をやって、はい、3D→2Dにシームレスにつなぎますよ、っていう演出なのかな、と思ってたからなんだけど、だから、その後ダイビングでふたたび草薙を3Dにする理由がわからない。水の動きは面白いし、多分イノセンスのOPでの鏡合せに対照させたかったからんだろうけど、唐突な感じがした。
全体的に色調変えてるんだけど、所々おかしいような気が・・・
色ムラというか、グリーンとオレンジの中間色にぼけた霧みたいなエフェクトが終始かかって発光するので、異常に目が疲れるんですよね。
それから、都市の色がオレンジだったりグリーンブルーだったり、CGだったり手書きだったりで、相当まちまち。
このあたりは、場面ごとにイメージがズレてくるので画面の統一感が損なわれてしまっていて、非常に中途半端だったので、不満に思いました。
確かに背景美術の完成度がもともと高いのでいじりにくいに加えて、時間足りなくて色々折り合いつかなかったんだろうなと推測。
ダイビングのあとの問答のビル郡は変えたほうが印象高かったんじゃないかなーとか。
あと、スナイパーヘリコ(ウルティマ・レシオシステムだったかな?)はパンフレットに書いてる通り、アニメーションとして完成度が高いので無理に3Dにしなくても、ってのはわかるんだけど、イノセンスで北方領土来訪時の魔王のごときティルトロータを見てしまっている身としては、ぜひ変えて見せてほしかったなー。
声関係はさすが。特に今回の再録で少佐に余裕がある感じがいい。ちゃんと頭の裏で計算しているように感じられる。
人形遣いは榊原良子になったことで、ものすごくエロくなってる。生々しい。女性格が完成された情報哲学を語り、生命と記憶の生理を語るというのが、95年版における「女の体に男の声」とはまた違う倒錯を生み出してる。バトーー草薙ー人形遣いの関係性で、イノセンスにつながる流れのために、バトー主体にした場合、神話的寝とられだった95年版(まー、もうしゃーないよな感が漂う)に対して、(シンギュラリティを目前に控えた一個の人格が導く)選択的寝とられとなった今回(まー、しゃーないんだよ、確かにしゃーないんだけどさー・・・)。
その辺の変化がね・・・ほれ、なんか、もう、ほんとカントクどうしちゃったんスか。マジで状態というか。
結果として、総じて満足。もともと低めに見積もってたので、いい意味で裏切られたというか。パッケージ化する前にもうすこしブラッシュアップするんだろうし、ブルーレイそろそろ買う動機として楽しみに待ちます。