エヴァンゲリオンの話・1

「なんだかんだで二回観ているわけだよね」
「さすがに二回目になると冷静に眺められますね。一回目は消化するだけであっぷあっぷだったのに」
「さて、今回の話だけども、まずゲンドウの視点で話してみます。
 前回で派手に失敗したゲンドウさん。そもそも彼のモチベーションというのは、喪った奥さんを取り戻す&人類をある到達点に導くことだった」
「その到達点についてはいまだに議論があるよね」
「そこはどうでもいい。目指したのが、エヴァを中核としたシンギュラリティだろうが、初号機を一種のエピタフと見なす人類モノリス化だろうが、ブラッドミュ−ジックだろうが、要するに人類を革新することで一致している。どうしてもソリがあわないゼーレと一定の線までつるんでこれたのも、この到達点が相当、似通っていたからだ。
 そんな彼が目的を両方かなえるために考えたのが、奥さんが取り込まれた初号機をすべての計画のベースに敷くこと。
 ここが大前提。
 こうすれば人類の革新は可能だし、その事至れば、魂を回収することもできるだろう。そのためには器がなければならない。勿論、おっかねえ化け物じゃなくて、ちゃんとした生身ベースで。
 ということで、お人形を作って、体裁を整えていくことを思いつく」
綾波レイさんのご登場ですな」
「ところが、ゲンドウさん。そのうち、この人形と奥さんを同一化してしまうようになる。その結果、この人形、実際の所、一個の個体ゆえに投射された情がのりうつってしまい、ついには自我らしきものを持ってしまう。
 ここで、「ダメだ、こいつはもう人形じゃねえ!」とぶっ殺してしまえば、終わっていたところを、「これはこれで……」となにをトチ狂ったか、男やもめのゲンドウさん、この人形改めレイに、必要上に接する傾向が見受けられるようになる」
光源氏計画発動! 第一の失敗点やね。結果、赤木家の女との確執も生むことになる」
「さらに、ゲンソウさんには計画の要になる存在があった。初号機のなかの奥さんを呼び覚ますためには彼女の、自分の子供の力が必要だったのだ。ところが、その鍵ッコがまた扱いにくいことこの上ない。広い意味でのマインドセットをしないままほったらしてきてしまったツケが爆裂しており、とにかく使えないヤツに育ってしまっていた」
「親の顔が見てみたいですな」
「これが第二にして最大の失敗点となるわけなのだけど、その辺は後で詳述するとして、とりあえずだましだまし運用していくゲンドウさん。が、またしても問題点が出てくる。今まで上手いことやり過ごしてきた上役の目についに止まってしまったのだ。このゼーレとかいう上役とはどうしてもソリがあわないゲンドウさん。首根っこ押さえられているが、そこは巧妙に立ち回ってみせて、ついには一時的に出し抜いてみせる」
「加持とかアダムとかあの辺の話ね」
「それとダミーシステム。これらを使ってやりくりすれば大部分のタスクを消化できるんではないか。そう思った矢先に」

つづく