月刊アフタヌーン 12月号を読む

  • アフタヌーンはそろそろタダ読みに切り替えようかと考えてます。
    • 一時期(三、四年前ぐらいからごく最近まで)に吹き荒れた雑誌変革ラッシュの混沌とした有り様が楽しすぎて、読み続けていたんですが、いつまでも混沌としたまんまでは、なんだかちょっと飽きてきたので。
  • 実際のとこ、アフタで単行本を買っているのは、「ヒストリエ」「蟲師」と「もっけ」、「俺と悪魔のブルーズ」「すずめすずなり」「おおきく振りかぶって」「しおんの王」と主要連載陣のほとんどですから、単行本を買ったほうが早いなあと思うようになったのもあります。


以下、感想羅列。

  • 宙のまにまに
    • 混沌としたアフタにおける清涼剤でおもしろいんですが、腰がひけます。あまりの青春ビームに、ムスカのように目がやられそうです。
  • 世界の孫
    • ハトよめと並んで、混沌とした現在のアフタの象徴のような漫画で、これ次第で購読続行かどうかを占うつもり。
  • リトル・ジャンパー
    • ここにきて、グングンおもしろくなってきたので、これが終わるぐらいまではアフタも買い続けるつもりです。
  • 巌窟王
    • なんというか、激しくFSSとか貞本エヴァの匂いがします。つまり、いつまでも終わらないというか、そんな予感がひしひしと。
  • 四季大賞受賞作品
    • ものすごく無難にまとまっています。おもしろかったです。前回の四季大賞とった作品もそうなんですが、キャラがちっこくて細いですよね。ハッタリ力がなくて、その分、淡々と進むというか。蟲師なんかによく似ている雰囲気がします。

IGPX(1〓3まで)とBLOOD+(1〓3まで)を見る


これまでのプロダクションIGの作品(パト2から攻殻2ndまで)は知り合い内では好き嫌いがかなりはっきりと分かれるんですが、その理由を聞いているとなんとなく対立的なカテゴリ条項になりました。

  • 好きな理由
  1. 絵が綺麗
  2. ストーリィが含蓄に富んでいておもしろい
  3. スタッフがわりと好きにやってる
  • 嫌いな理由
  1. 絵がキモイ
  2. ストーリィがオナニー臭い。スノップ臭が鼻につく(特にSAC)
  3. スタッフの顔が露骨に透けて見えるのがいや(特に演出と監督の)

 まぁ、これは僕の個人的なカテゴリなので厳密さに欠いているのは重々承知なんですが、だいたいこんな感じ。

 んで、このIGPXとかblood+なんかの評価を連中に尋ねてみると、双方共に、
「びみょー……そもそもおもしろいのかどうかにすら悩む。あ、でも、絵はいいよね」
 とのこと。BONESの作品と似たような評価でしょうか。まあ、僕も、そんな感じなんですが。


 以下、個人的な所感など。


 さて、IGはわりと世界観ありきの筋立てをする製作プロダクションで、プロップに潜むメタファだとか一枚絵におけるアレゴリィを大事にしているのが見受けられます。
 そんな中で、今期からはじまったIGPXBLOOD+はいわゆるキャラモノ、(販促のためにも)キャラがストーリィを作っていかなければならない類なんだと思うのですが、いかんせん、IGはこれまで舞台をメインとした作劇を心がけてたので、なんだかものすごいアンビバレンツな状態になっていると感じました。


 それは、なぜかというと、キャラモノをやるにあたって、Iはがそれまで培ってきた「神棚キャラ=すでに完成されていじりようのないキャラクタ」をやめて、今回からは「生贄キャラ=不完全で足元のお留守なキャラクタ」を創造しないといかんかった、その弊害が露骨に出てしまってるためじゃないかなあと思います。


 たとえば、blood+なんかはガンダムSEEDと比べると、いまのところ、まったくケレン味に欠けています。ガンダムSEEDは、ジュブナイルとしてもガンダムとしても、確かに問題点の多かった(特に個人的にヤバイと思ったのは戦争という概念そのものを否定するために結果としてごく一部の理想論に染まったテロールを賛美してしまっている)作品なんですが、作中の演出やガジェットはとにかくなにがなんでもド派手で、あの時間帯の本来の視聴者層をしっかりとひきつけたと思います。
 振り返って、blood+の悪いところは、もう、これはどうしようもないんでしょうけど、翼手が分かりやすい化け物すぎるところではないでしょうか。
 物語が沈滞してトーンが低いままに綴られているのに、翼手だけが分かりやすい化け物だというのは、「ストーリィが地味で難しそう」なのに「なんだか安直な化け物像だな」と中途半端な印象を残してしまうでしょう。 
(まったくの余談なんですが、これを逆手にとっていたのが、昔、玉置勉強が書いたBLOODで、彼の作品は、いかにもサブカル的なひねくれた作風だったのが幸いしたのか、かなりおもしろい吸血鬼像を描いていたと思います)

 で、IGPXなんですが、これはIGのいいところとよろしくないところが混交してる作品かなあというのがいまのところの印象です。
 まず、キャラ仕立てが分かりやすい。クールで頭がキレる反面、粘りややる気のない現代っ子。ひっそり努力家の美少女。火のような猪突猛進娘。セクシィな母親的リーダーに、飄々としたひげのおっさん、おっとりとしたメカニックに、屈折した評価してもらえないエリート。(さらに各キャラのロールをそれぞれの肌の色とあわせて考慮するとまた色々見えてきますが、それはまた後日にでも)
 最初、見たとき「ああ、これはつまり、パトレイバーの焼き直しだな」と思いました(メカニックがCG版イングラムを作ってた竹内敦志氏だし)。
 で、まあ、この作品はレースモノで大目的としては弱小チームの優勝を掲げているわけで、まあ、それはメインのマーケット先であるアメさんとしても分かりやすいツクリなので、ある意味、安心してみていられます。


 んで、よろしくないところとしては、あらゆるシチュエーションにまったくの危機感がないこと。これは一種、致命的かなあとも思います。
 不完全な脇甘なキャラで、それぞれ動かしていくのが小目的なんですが、明らかに大目的に気をとられすぎてて、チームの危機→(とあるキャラが介入)→あっさり解決。レースの危機→(とあるキャラが介入)→あっさり解決。
 と、ぜんぜんカタルシスがないんですよね。主要キャラが自力で解決した=成長した! という演出にもなってないし。(正直、資金繰り問題とかこのテのお約束なんだから、ラスト数話でもよかったような……)
 それまでのIG作品は、絶対に、どうあがいたいって解決できない問題があって(パト2の後藤隊長の問題とかSACにおける厚生省の不祥事 2nd GIGのアメリカ介入)、それでもその問題のわずか末端でも変化させよう、ちょっとでも世の中を良くしようとあがく「神棚キャラ」がおもしろかったわけですが、この作品はそうしたどうしようもない部分を捨てにかかっているわりに、結局、頼っているのはその「神棚キャラ」の力というのが、なんというか、バランスが悪いなあと思ったりします。

 

なんだか無性に、まったく関係ない日常の一コマを書きたくなる


俺「カレイドスターが見たい……」
知「またですか。今月に入って、それ、何度目ですか?」
俺「六回目」
知「そ、そんなに……だったら、さっさと取り寄せて見ればいいじゃないですか」
俺「借りても、忙しくて見れない。ていうか、他に優先度が高い作品が積み重なってる」
知「じゃあ、あきらめてください」
俺「う、ひでぇ。でも、見たい。ぶっちゃけ、極めて特殊な手段を使ってでも。げへへ」
知「あんた、最低だ。今、この瞬間、あなたは社会に生きる人間として終わりました」
俺「うるさいなぁ。だって、見たいんだよー!」
知「やれやれ。しゃーないすね……」
 外へ出て行く知人。車が走っていく音。
 十分後。帰ってくる。
俺「おかえり」
知「はい。これ」
俺「ん? ……お、おお、おおお! ぜ、全話そろってるー!? お、お前は、すばらしい。まるで後光が差しているようじゃないか」
知「あんまりにもかわいそうなので、貸してあげます」
俺「ありがとう。さっそく見るわ」
知「あんた、今さっき、他にプライオリティ高いアニメあるとか言ってなかったか?」
俺「いーから、いーから」
 見る。
俺「ああ、おもしろい。癒される」
 見る。
俺「すばらしい。まったくすばらしい」
 唐突に画面が切り替わる。
俺「ん?」
 白黒で、手術台の上で宇宙人らしきものが解体されて……(マジグロい)
 すぐそばで爆笑。知り合い大笑い。
俺「ナニ、コレ?」
知「宇宙人の解体シーンを混ぜてみました。てへっ☆」
俺「てめえ! またこんな……こんな漫画みたいないたずらしやがって! 前に、すばらしい青春映画だっつって「ドニー・ダーコ』見せて本気でヘコんだときみたいに、オレを欝で殺す気か!? 殺す気なんだな!? だったら、殺す! ただちに殺す!」
知「いやー、それ。友達が持ってた映像データ。頼まれてノンリニア編集したついでに、そこらじゅうのアニメのカット混ぜてやったんですよね。しかし……いやー、ここまでショックをウケるとは……人間って本当におもしろいですねっ!」
俺「死ね。ただちに豆腐の角に頭ぶつけて死ねっ」





 そんな日常(すでにこの時点で40時間寝ていない)