イノセンス (著:山田正紀)
感想
- どこまでいっても山田作品。しかし、非常におもしろい。
- バトーさんのキャラが明らかに違う。喋らない。皮肉を言わない。ものすごくマジメ。信じられない。
- トグサのキャラが明らかに違う。所帯持ちのくせに言動の端々が独身っぽい。物理的に弱い。ものすごく弱い。原作ですら、もうちょっと強かったはずなのに……。(この場合の原作は劇場版の攻殻機動隊じゃなくて、漫画の方、特にイノセンスの原作になった話のこと)
- このへんは山田エフェクトというか、「主人公がものっそい勢いで贔屓される」系のマクロコマンドが発動しているというか、「一定キャラへの愛、主人公は強くてはならない、ハードボイルド」の総和が閾値を超えて顕現化したというか、まあ、そんな感じ。
- 「メカフィリア」の中で、出渕裕氏が「イノセンスは押井守がタランティーノにウケた部分を削ぎ落とした作品(要するにエンターテイメント性がない)」と言っていて「ははあ、確かにそうだろうなあ」と納得したんですが、この作品はその「削ぎ落とした部分」を書いていたと思います。そういう意味では山田正紀をチョイスしたのは正解だったように思いました。