ディアスポラを読むが、挫折する。代わりに、知り合いから西尾維新作品を渡される。

 ディアスポラは無理でした。二章目で、頭のくらくらがどうにもとまらなくなり、読了挫折。最近、多いナァ。黒死館殺人事件といい……堪え性じゃなくなってんのかな。
 で、かなりがっくりしてたところ、知り合いから西尾維新作品でも読んでみ? と言われたので、読みました。


 単純にミステリとしてすごく面白かったです。最後の最後でペリペリとウソの皮が剥がれいくところとか、こりゃすげーわ、と。ただ、物語構造が「すべてがFになる」と酷似していて(キャラ造けいはともかく、発生した犯罪シチュエーションや、最後で至高存在が現れるくだりとか)、多分、これは作者がわざとやっていたと思うんですが、過去に同一賞を受賞した作品のパラフレーズってのは、色々大丈夫なのか? と読み終わって思いました。後、色々使われる言葉は中高生向けに強烈にカスタマイズされていて、腹をかかえて笑い、その後で上手いなあと唸りました。

 これでだいたい作者がやりたいことがわかったので、シリーズを読むことを止めることに。
 読みながら、「あー、これって社会と作者、作者と作品、作品と読者がそれぞれ境界例境界例を模倣する自殺サイト管理人みたいな関係なんだろーな」となんとなく思いました。
 作品評価としては、これ単体だと腹を抱えるほどおもしろいです(京都の生活風景がまんま作者の追想になってる辺りとか、ラストのセリフとか)。
 ただ、まあ、この調子でエヴァンゲリオン劇場版における庵野説教みたいなことをされても(ていうか、この作品はエヴァ劇場版のパラフレーズだと思いますが)、こっちとしてそれは相当かなわんというか、「なぜ読者を素直に物語に淫させてくれんのだ?」と(少なくても僕は)不満に思ってしまうので、後の本も知り合いに返しました。
 その際、「頼む。これって最後はメタオチなんだろ? それだけ、教えて」言ったら、まだ最終巻出てないそうで。残念。


 そういえば、この作者の作品って「インストール」なんかともよく似ていると思いました。
 文体に独特の手触りがあるっていうか、W村上作品なんかも(それほど読んでませんが)内容そのものはすごくつまんないんだけど、文章から作者の世界観が匂ってくるので、それがフラットな社会に生きる人に対して何らかの化学反応を起こすんでしょうね。