というか、かなりダメな人たちが集うと果たしてどんな醜い会話が繰り広げられるのか? という話

登場人物

A:オタク、精神的ヒッキー、SE
B:オタク、ナニワのナンパ師(自称)、某競馬紙編集
C:オタク、貧乏、職業モノカキ。


○C宅/コタツ・深夜二時


 ビール飲みながら向き合うAとB


A「あー、だりぃー。死ぬ。マジ死ぬ」
B「お前、そればっかやん」
A「うっせー、死ね。日曜なんだから競馬場いけ! あたらねえ馬券放り投げてこい。バカ」
B「うるせー。今日は半年ぶりに休みなんじゃ、ボケ。お前こそさっさとデスマーチって来い」
A「うっせー。サル。死ね」
B「お前こそ死ね」


 そんなハートフルな日常会話が繰り広げられる中、C鍋持って登場。


C「オウ。人間のクズども。待たせたな」
A「遅いんじゃ、ボケ。たかが雑炊作るんに何十分かかってんだよ」
C「うっさい。文句あるんだったら、食うな。サル。今から会社行ってデスマーチってこい」
B「ポン酢ないぞ? 用意わるっ。スーパーに走って来い。カス」
C「お前が走れ。全裸でこの寒空走って、そこのコンビニのかわいいねーちゃんンとこ行ってこい。サル」


 そんな調子で旧交を温めながら、雑炊をつつく三人。やがて、いつものごとくくだらない会話が繰り広げられるのであった。


○C宅/コタツ・深夜三時半


 ポン酒も尽きて、いい具合にアルコールが脳みそを刺激する頃


A「そういやさー。ヒラコーのHPで中高生のヒネタオタクをバカにしてたのってあったじゃん。見た?」
B「見た。芋けんぴだっっけ? アレは強烈だよな。一昔前のアフタにそのまんま乗せられそうなノリで笑った」
C「いや、でもさ、オレら、大学ン時からの付き合いだけどさ、お前ら高校生でああいうやつっていた? オレは体育会系だったし、その頃はオタクかっこ悪いって感じで近寄らなかったからそのへんよーわからんのだけど」
A「いや、オレも弓道だったし」
B「オレ、サッカー」
A「出た! 出ました。ワールドカップの時、流行にのっかったミーハー女コマすときに使ってた経歴! 『おれ、サッカーやってたんだよねー』『きゃー、すごーい』」
B「うっさい、ボケ! 悪いんか!?」
A「べつにー。万年ベンチウォーマーだったのに、モテモテでうらやましーっすねーって話だよ」
C「……まあ、話戻すけどさ。なんであーいうのっているんだろうね。ちゅー話ですよ」
A「はてなダイアラーとかにも多いンじゃん。主婦ブロガーとか中高生ブロガーとかああいう輩。その中でも痛いヤツっていうの?」


 それを聞き、心底イヤそうな顔をするC


C「またそういう不特定多数を敵に回すような言葉を……」
B「オタクに限らずさ、そういうやつってだいたい、まず『消費者様はカミサマです』から始まってで、『〓である』とか『〓なければならない』って断定調子が多い気がするよね。2chのノリをまんまパーソナルスペースに持ち込むっつーか」
A「でも、2chってパブリックとパーソナルの境界線上にさまよってる感じだからさ、2chでのまとめ的な言説をリードしてきて、そのまんまブログで使ってるって感じじゃないの? だからさ、ブログで提示されているのは2chにおけるグルーブ感ちゅーか、祭りの尻馬に乗っかる感じとはまた違うような。文脈を切り取って貼り付けてる感じのが多くない?」
C「ああ、中高生ブログはそんな感じじゃないかな。オレの経験談になっちゃうんだけど、オタク系のはてなキーワードでいろんなダイアリ回るんだけどさ、明らかに中高生ブログってのは、総じてアレなのが多い気がする」


 雑炊をつっつきながらA。


A「アレってなんだよ……」
C「えーっとね。とりあえず明らかにどっかから引用してきた言葉が目に付くんだよね。彼らのヒネた言葉ってのは大抵2chとかにあるんだよ」
B「分かる! それ、分かるよ! 最近だと『ONE PIECE』のルフィのギア2は界王拳。尾田、なにやってんだよ!? とかだろ」
A「別にそんなん悪いこっちゃねーだろ? お前だって無自覚に他人の言説パクってしまうってこないだ言ってたじゃん」
C「や、そうなんだけどさ。彼らはそれを確信犯的にパクってんだよね」
A「いーじゃん。別に。世の中の誰しもがてめーの言葉を持っているわけでもあるまいし」
C「んー、なんちゅーのかな。端的に言って、ムカつくんだよ。そういうの」
B「出た。出ましたよ。二十代モノカキの青臭さ、ガキズムってやつが」
C「うるせぇなぁ……彼らはさー、なんつーか、他人の言葉を借りて他人の作品を傷つけているくせに、自分では何も生もうとしないんだよね」
A「そりゃ職業モノカキの言うこっちゃねーな……ハーラン・エリスンじゃあるまいし」
B「職人は他人の言葉に耳を貸さないもんだってのになぁ」
C「うるっせーな。黙って聞けよ」
A・B「へえへえ」


 焦げ目のついた雑炊の残りをレンゲでさらっていく二人。


C「なんちゅーかさ、2chのグルーブ感から目を背けてるくせに、てめーの日記だかブログに、まったく同じ文言を書くわけですよ。パブリックからパーソナルに書き写して、そのパーソナルをまたパブリックに発信する。その二度手間三度手間が気に食わないんだよ。チェックしててイライラすんの『まーたおんなじ言葉出てきたよ! ファーック!』ってなるんだよ」
A「うわ……」
B「いや、お前さ。言ってることむちゃくちゃだよ?」
C「なんでだよ?」
B「だってさ、お前、以前、『ネット世界は所詮タダの世界だから、ナニが書いてあっても別になんとも思わない』って、おっとこらしーこと言ってたんじゃん」
C「言ったよ。けどさ、よくよく考えてみたら、違ったんだ。タダじゃないんだよ」
B「どゆこと?」
C「オレの時間が食いつぶされている。有益な情報が拾えないという徒労がムカつく。しかも、目にとまるのが大抵、ヒネた中高生の一人称『私』の尊大な口調なのがキレそうになる」


さすがにイヤそうな顔をするAとB


B「うわ……情報探すツールの使い方がヘタなことを他人に転嫁してるよ」
A「ダメだ。この人……じゃあさー、論壇パロディを標榜するサブカルサイトあるじゃん」
B「ああ、あそこか。オタク煽り大好きな最近のガイナックスみたいなところだ」
A「あそこはどうなん?」
C「あそこは別にいい。あそこまでやってくれるならいっそ清清しい。ていうかちょっと参考にしてたりするぐらいだ」
A「ああ、要するに中途半端なんが気に食わないのね」
B「つまり、中高生ブログは、てめーの無知を理解してないくせに、ネット世界に転がってる文脈やらグルーブ感ぶったぎった単語を平然と切り貼りしてる。そこが気に食わんのね」
C「そうだ。てめーの言葉を使わずに過去に誰かが使ったフレーズをまんま引用して、他人の作品を蔑するんがムカつく」
A「青くさっ……」
B「それにバカだ。ガキのたわごとなんざ無視っときゃいいのに」
C「それはできん。なぜならば」
A・B「なぜならば?」
C「お客様はカミサマだからだ。ジュブナイラーとしてマーチャントを怠るわけにはいかんのだ。ティーンは大事なお客様だ。だが、ムカつくものはムカつくんだよ! ペーペーのモノカキだって人間としての矜持があるっつーの! ガッデーム!」
A・B「ダメだ。こりゃ」




※この話はこんなダメな人たちが集まったらどんなグダグダな会話をするのだろうか、という思考実験をしたものであり、登場人物、職業、所属団体等は架空のものであります。