GUNSLINGER GIRL 六巻を読む。

 言わずと知れた「戦う少女は銃を持つ」という現在に至るムーブメントにおける一つのハシリになった作品。
 ロリ少女が銃を持つってのは、散々どっかで言われていることと思いますが、「いたいけな娘に男根を握らせる」所業であり、一時、嬉々として無数のオタクが飛びついたもんです。


 あー、そういえば、昔どっかで誰か(多分、女性)がこの作品を指して「女の子を従属してる歪な男の欲望を体現した世界」だとかなんとか言ってた記憶があるんですけど、そもそもオタクってのは節操なく手当たり次第に自分が可愛いと思ったものを犯す(別に字面通りの意味に限らず)性癖持ちなわけで、それを知ってりゃ、んな当たり前のコメントを声高に謳うような真似もしねーのになあ、などと思ったもんです。
 閑話休題


 戦う少女と軍事と悲劇、といえば、それだけでワクテカもんですが、まあ、これは今で言えばアレだ。ツンデレが、過当供給でその地位を徐々に落とし始めているようなもんで、飽きっぽい消費者が徐々に少女に銃という構図に慣れはじめると、さすがにこのガンスリンガーガールの作者、機を見るのに聡い元同人作家です。すかさず戦法を変えてきました。
 それまで少女視点だった物語の語り手を保護者である男に。
 萌え萌えな性的未熟児から肉体を駆使する元・バレリーナ美少女に切り替えます。
 一応、作者の名誉のために言っておきますが、多分、四巻辺りからキャラ萌え路線がイヤでイヤでしょうがなくなってたんだと思います。五巻なんて完全に美少女を書くことを拒絶してましたし、多分、どれだけ本気で書いても「〓〓たん、萌えー」「へっ。どこまでもかわいそうな女の子かよ」とか言われるのにマジうんざりしてたんじゃないでしょうか。
 まあ、これは僕の想像であり、保護者の男をわざわざ「〓様」なんて呼ばせている作者の思惑が実際のところどこにあるのかちょっと計りかねているんですけど、その結果、生まれたのが、ざばっくらんなノリの「ニキータ」的なストーリィだとしたら、ちょっとおもしろい。相変わらずどこか悲劇的なんだけどそれが鳴りを潜めたおかげで、かなりライトなタッチになっていて、読みやすくなった気がします。
 いずれにせよ、等身をあげて大人びたと思わせる筆致とキャラに寄せて書くコマ割とがノリのいいリズムを生み出していて、かなり上手なマイナーチェンジをしたんじゃないでしょうか。実際、多くの読者が従来の路線だと飽きてきていた時期でしょうし、かなりラジカルに変えてきたなあ、珍しい、と思いました。