ちゅーか、FF12をクリアしたので、それに関する所感。


 ゲームに関しては門外漢なので、システム周りに関する言及はしません。
 賛否両論のシームレスバトルとガンビットに関しては、楽しかった。後半になればなるほど、強い敵であるほど細かい操作を求められて忙しくなるのがよかったです。逆に雑魚相手の戦闘だと、ガンビットのマクロに任しておけば楽勝なので、この辺り、めんどくさがりなので非常に助かりました。
 一般的なRPGにはそも戦略性なんてほとんどないので、それを逆手にとった仕組みだなあと感心しました。
 でも、まあ、コンシュマーの、それもビッグメジャーでわざわざこんなことをやる度胸がすごいと思いました。そう考えると確かに、ベイグラントストーリー2と言われるほうがまだ違和感なかったかもしれないなあ。


 物語が終わったわけですが、最後までヴァンがパーティについてきた理由がさっぱり分からなかったです。実際、他の面子は、

  • アーシェ→王国の復権。夫の復讐。
      • ところで全然関係ないんですけど、プロフィールに「元・人妻」って書くと卑猥ですよね。未亡人よりも断然エロい。
  • バルフレア→父との確執。お宝狙い。
  • フラン→バルフレアの相棒だから
  • バッシュ→名誉の回復。弟との確執。

 と、動機が明確なのに(一応、パンネロにもヴァンについていくという動機がある)、ヴァンだけがまったく動機を持たずにひょいひょいついて行ってました。まあ、変に「実はどっかの国の王子だった」「すごい力の後継者だった」とかやられるよりはよほどマシですが、本当に珍しい。RPGで「まったくの凡人」が主人公になるなんて。
 不満というよりも、めちゃくちゃ戸惑いました。FFの主人公なのに、ドラクエの主人公みたいなこの個性のなさには。
 実は割と好きです。パーティの主人公に対する扱いがものすごく存外だし、ヴァンも空気読めないし、頭悪いし、能天気だからいじられキャラに徹してるし。
 いい配置なんだから、このへんのかけあいをもっとやって欲しかったかもしれません。ゲストキャラなんかも交えつつ舞台設定を語るとか。まあ、やりすぎると単に同人要素になっちゃうから、按配が難しかったのかもしれません。



※以下の記述はネタバレを含みます。



 ストーリーの大筋としては「過去から未来へ」という流れですね。オキューリアに操られたこれまでの歴史との決別。各キャラの過去からの決別。
 だから、終盤、各キャラの過去からの呪縛が解き放たれていくリドルアナ大灯台からラストにかけての盛り上がり方は素晴らしかったです。
 でも、やっぱり関わらない主人公。彼のトラウマ解消が早すぎるんだよなあ。
 結局、バッシュにしたって「実はオレじゃねえよ!」で「え、そうなんだ」と納得しちゃうし、ジャハラのアーシェとの会話では、知らないうちに兄貴絡みのトラウマを乗り越えたことになってるし(序盤の終わりぐらいで!)
 まあ、屈折してないことはいいことなんですけど、もうちょっと描きかたってもんがあるんじゃないかしら。泣かせろ、とは言わないんですが。痒いところにギリギリ手が届かないもどかしさみたいなのがあります。勝手に各キャラがトラウマ解消していくし。
 あ、でも、ヴェインにとどめをさそうとするところは主人公らしかった。結局、邪魔されるわけですけど。主人公! 主人公なのに! まったくいいところなし。ほんとに扱い悪いなあ。かわいそう。
 まあ、影の薄さではパンネロですけどね。もはや悲惨といっても過言ではないぐらいの地味キャラです。演技も後半になればなるほど下手になっている不思議。もしかしたら録りが先だったのかしら。(具体的に言うと、前半に比べて、声がかすれて棒読みになってる。ラストのモノローグとかひどかった)


 ていうか、設定に不透明なところが多すぎるんですよ。オキューリア然り。後、ラストでアーシェがバルフレアに惚れてるような発言は、「どこでフラグ立ったっけ?」とエロゲーをプレイする身からすれば、首を傾げてしまいました。単に「闘いが終わったんだから、もう仲間には死んで欲しくない」というニュアンスだったらよかったんですけど、どうもそうでもなさそうだしなあ。そのへんの心理描写も書かれ過ぎても見てるこっちが恥ずかしくて参るんですが(FF10とか)、ほとんど書かれてないですしね。随所のイベントでそれっぽいところはあったけど、「それっぽい」だけであってそれで理解しろっていうのはいくらなんでもニュアンスを拾わせすぎです。

 あ、でも、モンスターのプロフィールとかはニヤニヤしながら見たりしました。そういう細かいところに気を配っているのは嬉しいですね。RPGだし。後、魔法障壁の設定。あれはいいなあ。あれがあるから、飛空挺がびゅんびゅん飛び回っても街に被害は出ないっていうのが映像で見られたときはなるほど。理に適ってると感心しました。こういう細かい設定は素晴らしいですね。ほんとに。ラスボスを倒して、すがすがしい青空を望んでいると相変わらず戦闘音が響いていたりとか。あのシーンはシュールな笑いで「えげつないなあ」と思いました。


 ラストは想像していたものと違いました。僕の中での今作のストーリーラインは、

  1. ヴェインは実はラーサーにソリドールの跡を継がせるために進んで憎まれ役をかってでた。
  2. というのも、不滅なるものによる歴史操作に反逆するために。「オキューリアに介入され続ける歴史」の最後を引き受ける役として「真の自由の解放者」として生きることを決めたヴェインにシドも共感し、「自由な人の歴史」を作る礎になることを決める。折り良くも「新しい覇王=オキューリアからの解放者」を求めていたヴェーネスと邂逅し、戦争を引き起こす。破魔石の研究によって人間の手によって作り出すことが可能に。
  3. そして、オキューリアのイヴァリースに対する干渉を『繭』の破壊によって消滅させると、自らの命をアーシェとラーサーによって絶たせることで、幕引き(件の元老院殺害も盟主としてのラーサーの自由を確保するための布石)。ヴェーネスとともに消える。(なんとなくヴェーネスとヴェインのラストシーンは幽白の仙道と樹のそれを想定したなあ。「君の歩みを見届けよう」とか。絶対にあのシーンはバハムートから飛び降りると思ったのに。で、主人公達が駆け寄ろうとした瞬間、「来るな!」って言って「神々の時代の終わりに身を捧げるのを見届けるのだ」とか一席ぶつと思ったのに)
  4. で、ヴェインがかっこよく死んで、ヴェーネスを依り代にして(詳しい原理は知らん。気が済むならゲッター線のおかげとでもしておくといいよ)、オキューリアのイヴァリースに干渉できる一部が物質化してラスボスとして出現。それを撃破することでオキューリアは完全に地底に閉じ込められ、名実共に『人の歴史』が始まる。

 だったんですけど、全然違ったなあ。くそー。深読みしすぎたか。個人的には、ヴェインとシドとヴェーネスの出会いを描いて欲しかったなあ。オキューリアの設定を話すのと一緒に。まあ、終盤の盛り上がりは本当に素晴らしかったのでよかったです。
 それだけでFF12を買った価値があったかなと思いました。