正しき文字の力


 ここ数日で一番笑ったネタがあります。といっても、コピペネタなんですが。


243 名無しにかわりましてVIPがお送りします 2006/06/27(火) 00:44:43.02 ID:7xX0YchZ0
ふと思い立ち、頭頂部の直径3cmだけ残して
周囲をツルツルに剃り上げてみた

その頭で歯医者へ行く

病院に到着
受付で帽子を脱いだ瞬間、周囲から「グッ!」だの「ブフッ!」だの
押し殺した奇声が聞こえる

治療台へ
担当の女性の肩が明らかにプルプル震えている
治療の合間、うがいの時にボソッと「スイッチ」と言ってみる
背後から「ウグッ!」と声が響く
だめ押しで自分の頭頂部を指で押して「ポチッ」と言ってみる
「えひぃえっ!ちょ、ちょっとお待ちくだ。えひぇひぇひぇひぇっ!!」
泣き笑いのような顔で女性は奥に引っ込んで出てこなくなった


http://imihu.blog30.fc2.com/blog-entry-1662.html経由)


 これはまさしく文字の力だなーと思いました。キョーレツに想像力を掻きたてるんですよね。
 最近、歯医者によく行っているので、舞台となる歯医者さんはそこの医院で、ボクは待合室に腰掛けていて、いきなりスイッチマンが登場したらそら笑うわ。笑わざるをえんわ、と。
 それにしても、もしこのシチュエーションを漫画にするとしても、多分まったくつまらないんだろうな、とも思ったり。
 漫画って客体化してるわけで、「自分がそこに居合わせたら……」という仮定に対する想像力が求められにくい*1
 一方で、文字媒体は情報の限定っぷりが、結果として表現としての幅を広げているというか、「不足を脳みそで補わないといけない」という「手負いの方が強いんだ」ルールの援用が求められるわけで、それが結果として双方向性を持ってるんでしょうね。
 このへんは文字媒体の強みだよなー、と思ったり。そういえば、いちいち写実的にビジュアル化する小説なんて読みたくねーしな。漫画→小説の順番で落としこんでるライトノベルが最近、特に肌に合わなくなってきているのはそういうことなのかも。
「この作者は何を書いているか」じゃなくて「この作者がどう書いているか」が僕が作品なるものを楽しむ上での主題であるので、コピー(orシミュラクル)ちっくなモンにはあんまり興味はないってことなのかしら。(この辺りは佐藤亜紀剽窃云々に際して、http://anotherorphan.com/2006/06/post_308.htmlのエントリーがおもしろいです)


 まあ、要するに、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ最強というこった。読者における想像の余地を多く認める書き口、名づけて「えぐりこむように行間を読め! 読むんだ!」メソッドの使い手だしね。あ、後、近いところではシドニー・シェルダンとか。

*1:読者の想像力をあまり求められずに、むしろ作者のそれを与えられるから