大手漫画感想サイトについて

http://d.hatena.ne.jp/luxaky/20070219/p1について、ブクマに所感メモ書きしようとして収まりきらなかったのでこっちで。

  • 概要

 http://www.heiwaboke.com/2007/02/post_697.htmlが起点。大手漫画感想サイトがオススメする漫画は手に入りにくくなっている。
「ところで、○○○(感想サイト)のレビューは面白い。つまんねー」
「感想文が面白くても、その漫画がつまんねー」
「いやいや、2chスレのオススメ漫画のほうが面白い。つまんねー」
「つーか、2chで好きなマンガが叩かれてて、読む気をなくしてしまった」
「全然関係ないけど、○○(マンガの名前)面白いよね。オススメ」


 大変に不毛で素晴らしい光景だと思います。

  • 以下、所感。


 僕からすると、大手漫画感想サイトってワンストップサービスなんですよね。
 つまり、顧客のニーズを(仮託的に)供給してくれる囲い込み業務。だから、書かれる感想は広告プラス体験=紹介だし、アフィリエイトは窓口。
 そうして見ると、大手サイトは物足りなく感じます。理由は簡単。取り扱う商品の情報量が不足してるから。


 思うに、大手サイト*1がなんで大手サイトとなったか、というと、それは彼らが「当たり前」のことを書いてきたからで、本来ならマイノリティの「萌え」をあけすけに語る*2姿勢が支持を得て、それが雪だるまに膨らんで今に至ったのではないでしょうか*3
 

 んで、そうなると当然、取り扱う商品があまりにもマイナーだと困ります。なんでかってーと、一つには、まー、ヤラシー話、お金入らないですしね。だから、絶版本なんかはアウト。まあ、これは最大の理由ではないと思いますけど。
 それから、「当たり前」の感想で支持を得た背景を考えると、彼らの感想を読むことで連帯感を養ってきた「見えないコミュニティ」=支持者がそれを許しにくいのでしょう。支持者は「ヤマカム」や「マンガがあればいーのだ」の様式を見て安心したいので、そこからはみ出すと非難されるリスクがあがる。すでに出来上がったユルイ風潮の中でいきなり高度な批評を始められると、コミュニケーションがブチ切られてしまうので、定例化されたやりとりを無視されたコミュニティがキレる。「雰囲気察しろ」「空気嫁」再び。なので大手サイトの人たちもその圧迫を回避すべく、入手が易しく、比較的「旬」なものを取り上げ、「当たり前」な感想を繰り返す。結果、どのサイトも横並びな主張が揃う。


 なので、踊らされたくない、と思うひとは、そうした大手サイトは脇に置いておいて、自分の好きな作品についてビビっとくる主張をするサイトを探すほうが吉です。
 相手の感想に「なんか違うな」と違和感を感じたら、その齟齬は埋まることはありません。
 なぜならば、自分の「面白い」を他人に委託することはできないからです。
 そして、自分の「面白い」を他人に預けてしまうことに無自覚になってしまうと、やがては「なにが面白いのか」も分からなくなってしまうでしょう。
 だったら、自分の信頼できるサイトを新しく探しなおすアクティブな姿勢のほうが、大手サイト一つで満足する受動的な態度よりナンボか建設的じゃないでしょうか。

 大手サイトはおよそ一般の感想の最大公約数であり、それはそれで利便性の高いものでしょうが、そこで経験値を得たら、次にやるのは、求めているそれぞれの情報の最適化だと僕は思うのです。

 



 

 
 
 


 

 
  

*1:ここでは主に言及されている「ヤマカム」と「マンガがあればいーのだ」に焦点を当てます

*2:でも、それだけだと凡百のサイトと変わらないから、付加価値としてネタ的なツッコミを組み込む

*3:このへんのきちんとした流れは当事者じゃないので、ちゃんと捉えられていないことを付記しておきます