最近、買った本とか。


 なんだこれ? 
 読みながら、疑問符の連発ですよ。首傾げまくり。恐ろしく読みにくい。1コマ先が予測つかない。
 ああすればこうなる。こうすればそうなる。そういうリズム感というか漫画としての文脈がぶつ切りで、驚かされる。
 しかし、面白い。
 過剰なぐらいちっぽけな日常を描写し続ける執拗さがリアルかつシリアスなところに入り込んでいくはずなのに、時折、ほとんどギャグのような古臭い漫画描写がひょいと顔をのぞかせたりする。
 そのギャップが暑苦しい。空気が読めない。しかし、その空気の読めなさが面白い。だから、「なんだこれ?」今まで読んだことのないリズムと質感。

 買ってしまったっっ! 我慢するもりだったのに。もうじき最終回、四巻で終わりだと聞いて、うっかり買ってしまった。
 内容は満足。よしながふみの作品は「愛すべき娘たち」がマイベストなんだけど、それに比するぐらい。
 や、別にホモ描写がないからじゃないですよ?
 キャラの内面にほとんど踏み込まない距離感が気持ちいいのです。「こどもの体温」にしても「西洋骨董洋菓子店」にしてもそうですが、キャラの中に入っていきすぎるのです。トラウマ劇によく見られる「他者の心理に滑り込む」あの感じはあまり気持ちいいものではないので、ギリギリのところで留まる綱渡り感覚が愉しいのです。というのも、つかず離れずのコミュニケーションほどスリリングなものはないからです。 

 うーん、怖い漫画だ。小林尽のストーリィテリングをどこまで信用していいのか。三巻ぐらいまで様子見したほうがよかったかもしれないと今さらながらに後悔してます。絵は好きです。とっつきやすくて、和むので、元はとったかしら。

  • 死が二人を分かつまで(四巻)

 あ、やばい。ARMS中〜後期と同じ匂いがする。グダグダの匂いだ! 最近の漫画はあしがはやいなあ。四巻でもうダメか。五巻以降の盛り返しに期待したいです。


以上、漫画。以下、諸々の本

  • 「西洋思想史」

 フーコーフッサール、ハイデッカー、ヤスパースについて見直したいことがあったので。
 こういうのはいい暇つぶしになるんだけど、なんせ時間がかかるからなぁ。一冊で完成された暇つぶしだとやっぱり小説、漫画に限るなぁ、という話。

 「へうげもの」の裏づけのために。面白い。庵への創意工夫とか漫画を先取りできた気分。ニヤニヤ。

  • 「あなたに不利な証拠として」

 あ、こういう話なの? なんだ、もっとドロドロした海外ミステリ然としたものかと勘違いしてました。短編集だったんですね。思ってたのと全然ちがって驚きました。
 評判いい理由はよく分かります。淡々として乾いている。けど、切ない。そして、鋭い。なるほど、面白い。
 けど、そんなにときめかなかったかな。
 警察官の日記を眺めているような気分。興味深いけど、感銘は受けるけど、ハマるか? と聞かれると「『風の影』の方をオススメします」と答えてしまいそう。そんな小説。
 関係ないけど、表紙カバーがかっこよくて好きです。