風邪引き三日目。
まだ治りません。あまりにも暇なのでこの三日で10冊ぐらい本を消化しました。
以下、短評とか。
- しあわせの理由
- 表題作が白眉。こういう酸いも甘いも、みたいな話というのは文芸っぽいというか、嫌いな人もいるんでしょうけど、それだけにかえって読みやすかったです。ベタっちゃベタなんですが、それをSFガジェットでやってくれるのが楽しいです。グレッグ・イーガンは短編の方が面白いのかなあ、とか思いました。ワンアイディアの方がまとまってるのかも。
- 神州纐纈城
- 再読。
- 読めば読むほど、おもしろいです。スルメみたいな、というか、どこからでもツッコミがいれられそうでありながら、隙がないんですよね。恐ろしいことに。
- とりあえず、漫画版は別として、原作までもが未完だったんか!? と戦慄を禁じえなかったことと、「血で染まる予定の布を織る職人女達は何故殺されないのか」ということだけを後学のために書き記しておきます。
- ヤングキングアワーズプラスの石田敦子のイヤンな読みきり二つについて
- 多分、少女漫画家が人間関係に苦労しまくったら、こういう話を書くんだろうなあ、とか思いました。
- 執念じみた女のヘビのような情念というか。カッコだけじゃなくて、骨まで身に染みるような情念というか。
- 男が描くこういう話ってのはやっぱり一発出しちゃったらそれでまーいーやーみたいなところがあるんですが、女性の場合、ゆるゆる性感が続いていくせいか、似たような題材を描いても、男のが、どっかでオチるための起伏があるのに対して、こっちのは終始、真綿で首を絞められるような圧迫感がコマの隅々から迸っていて、本気で怖かったです。だから、女性作家の作品ってなるたけ読みたくないんですよ。虚構でまでそれに付き合って、苦労したくないので。どれだけおもしろくても。
- アワーズプラスのデビューマンの人の読みきり
- 同じモチーフで同じテーマを書き続ける作家ってのが世には少なからずいて、そっから抜け出せずにずっとループしてる人っていうのは、めちゃくちゃ才能がある人か少なからずの才能の使い道に悩みすぎる人なのかなあ、と思うんですが、この吉本蜂矢って漫画家も絵がおもしろいし、キャラにすごく味があるんだけど、その使い道が分からなくてずーっとおんなじことばかり書いてる人なので、なんだかもったいないなーとか思ったりします。
- 新書太閤記(七巻まで)
- すげーおもしろいです。秀吉が「底なしの陽気者で家族思い→家族のために野心を養う→ある程度、家族をそこそこ満たしてやれたので、今度はそれまで培った才能をすべて自分のために使い始める」と変化していく流れがすごい。困難に直面すると、新しい能力に目覚めていくのとかまんま少年漫画ですよ。素晴らしい。
- 読む前は、秀吉視点で捉えていくのかなあとか思ってたんですが、どちらかというと「信長から見た秀吉」とか「光秀から見た秀吉」というように「誰某から見た秀吉」という書かれ方をされていて、劇中でもしばしば触れられてるんですが、秀吉ってのは他者の目を強烈に意識しながら動いてきた生き物なので、秀吉立身出世の最大の要因っていうのは凄まじい人間観察力だったんだろうなあとか思ったりします。