色々と読んだよ。

独自の3巻ルール*1に従い、購入。
未だに羽見野チカがこれを書く理由をとんと思いつかないのですが、大変いい殺意ですね。(満面の笑顔で)しっくりとして、コクもある。
ハチミツとクローバー」の頃から、あちこちの隙間から仄見えていた「選び、選ばれることの残酷」が、内にも外にも鉛のようなウェイトでのっかっていて、実に読み応えがある。
「リングの上が美しく残酷なほど客は喜ぶ(大意)」というのは、新井英樹のボクシング漫画「SUGER」の言葉ですが、まさにこの作品の主人公に対しても、言い得て妙だと言えるでしょう。 

買っちゃいましたよ。邦訳。1万円で。うわ、アホみてえ。
分かっちゃいるんですよね。多分、今、北米で出ているゲームが評価高いから、そのうち日本にも輸入されるだろうな。
で、こないだから「ダークナイト」で盛り上がって以降、アメコミにちょっと追い風吹いている現状、うまくいけば小プロ辺りが復刊するんじゃないかなって。
でも、それで最悪のシナリオを想定しちゃうんですよね。アメコミの訳本には、ハヤカワと同じぐらい何度も期待を裏切られてるから。
一番最悪なのは、ゲームは日本版販売。で、アーカムアサイラムについて盛り上がる。が、原作は復刊しない。プレミア高騰。っざけんな。ぶっ殺すぞ。
もう、その流れが頭をちらついてしょうがなかったんですよ。ほんと。
感想? まだ読んでねえよ。買ったことがすでに事件だよ。

  • 年間日本SF傑作選「超弦領域」

前年の「虚構機関」が当たりだったので、今年も買う。結果、素晴らしい。どれも珠玉ですが、以下は特に気に入っているもの。

割と今までにない手触り。文体のうねるような感触が減って、硬質な気配。事実のような物語の錯覚が、同じく錯覚のような主人公の人生にかぶさってくるのは、生のベールで包むようで、ここはいつもの調子なんですが、主人公の人生観が明確に主張されていて、ちょっと珍しかった。こうなると俄然、今度出る「バレエ・メカニック」が気になっています。

あのねえ。もうねえ。暴力ですよ。こういうの。マジでマジで。
使い切る気なんてハナっからねえキャラクター紹介とか、もう、ほんとねえ。
だって、キャラの名前の字面を目にした瞬間から分かりましたもん。
あ、DVD使いは出てくるなって。
じゃあその先、誰が出てくるだろうって考えこんだ瞬間、もう作者の勝ちですよ。
まあ、ガンダムの筋はねえな。同じくメイド喫茶、フィギュアの筋もない。当たり前すぎるから。
 紙使いは間違いなく出オチだから、無視するとして、コンピュータ、ゲームは、描写が短編だと取り回し悪くて追いつかないから、これも外し。
じゃあ、コスプレ、同人誌、抱き枕。
ならば、描写の弾けっぷりから歪んだ情熱を感じる抱き枕にBET。花京院の魂を賭けよう。
あ、上記の意味が分からない人はとりあえず読め。そしたら、すぐ分かるから。

  • エア(ジェフ・ライマン

「レインボーズエンド」と「電脳コイル」と続けて、ARを絡めたいわゆる「マンデーンSF」がどんなものか知りたかったので。
 なるほどなーとか。舞台がそうだから余計思うのか、中国の小説で、いくつか思い当たるようなノリ。現実を飛び越えた小道具に、それでも現実性を与えつつ、そこで泥臭く展開する人間模様。状況の効率化をモットーとするSFとは、微妙に文脈にズレがありそう。これ一本で判断せず、他の作家のを読んでみたい。興味深い潮流です。
 

同時期に出た「紫色のクオリア」とは表裏のような作品だと思う。続刊が出る頃に、暇を見つけて、なんか書く。

*1:連載モノは単行本が3巻まで出てから買う