色々と楽しんだ。

 レンタルで観て即、Blu-ray買い。つまり、大満足。
 正しくジェットコースターでティーンなムービーであり、大変楽しい映画。僕の基準の中ではアイアンマン系というべきか。ポップでロックなノリ、制作者が舌出しながら造ってそうなところとか。
 しかし、アイアンマンでは、スターク×ポッツでメロっぽく速度を落としたのが、カーク×スポックの対比でテンポが落ちないのも大変グッド。
 アイアンマンも悪いとは言わないのですが、終盤のくだりはヒロインの絡め方がテンプレート的で無理矢理感が否めず、ポッツにはかなり不利な流れだった。
 余談だが、スパイダーマンはまだ正体に絡めたりとか、三角関係にもつれこんだりして価値を出そうとしたが、ともあれヒーロー物での非力なヒロインのクライマックスでの価値の無さというのは非常に工夫のいるところなんだろうなとは思う。
 この「スタートレック」では「ヒロイン? ヤングスポックのことじゃん。彼ってツンデレだろ?」と男の友情でホモソーシャル的な欲求を満たしつつ、裏では腐女子回路を働かせる流れを保っており、実にそつがない。
 ストーリーですが、実は前情報を一切入れずに見たため、プロローグで恐ろしい方向に舵を切ったことに終始、驚きっぱなし。こんな無茶苦茶ことになるとは・・・
 本国のオールドファンとか偉いことになってるんじゃないかと思って後日調べたら、むしろ出演者であるウィリアム・シャトナー本人が「オレを出さないとかふざけんなボケ!」とマジギレしてたらしく、大爆笑。 
 以降、ニュージェネレーションってのはこうでなくっちゃとノリノリで観た。
ヤングカークともなれば、愛嬌があるし、悪ガキで大層やんちゃだけど、仲間には愛されるよね。というのが、非常にメリケン臭くて良い。少年時代のクソガキっぷりが非常にロックンロールで、こいつはほんとに愛すべきバカだなとほほえましく思いました。

ハードカバー出た時に読んでなかったので。
なんというか、津原泰水ってこんな作風だったっけ? というのが第一印象。
後半のイヤ展開にはさすがやすみん、鬼の子よのう、と感心しましたが総じて真っ当な内容で拍子抜けした、というとなんだか失礼ですが、所々にほとばしるイヤな予感には、さすがすぎるとは思いました。
ところで、貴志祐介の「新世界より」をこの人にリメイクしてほしいと思うのは僕だけでしょうか?
絶対面白いと思うんだけどなあ。いつかコラボって欲しい。

なぜかしら。読みながら、「説教強盗」とか「盗人猛々しい」とか「言葉のバイオレンス」とかそんな言葉が頭によぎり続けたのは。
へうげもの宗匠に云わせると、
「気づいておりましたか。わたくしも気に食わないおとぎ話を叩き壊す時には遠慮など不要であると思っておりました」
セリフに気合いと実感と情念と魂がこもりすぎて、ねじきれそうになる作画。
こういうのを見て、へうげもの織部はこう云うのです。
「それ、甲!」
然るに、大変な数寄であると云わざるを得ない。

これを読んでいて、ゴージャスアイリーンを思わぬ者はおるまいて。
「私、残酷ですわよ」と言い寄る男どもをバシバシなぎ倒していく乱が是非見たい。
が、多分、そういう話にはならないだろう。非常に残念だ。

 押井守の切り時に悩む作品。
スカイ・クロラ」と「宮本武蔵」と「斬」と「アサルト・ガールズ」でぶっちゃけフィルムメーカーとしてのキャリアは終わったと思ってるんですが、ただし文筆業としての押井守はまだまだ色々語ってくれるし、語れそうで、また実際この二巻も面白いんですよね。相変わらず個々の理屈が先に立ってるので、全体としていまいち盛り上がらないんですが。
各シーンを全体から切断してしまうのは本当に悪いクセだよなあとか思います。
しかし、「アサルト・ガールズ」の小説版はまず鉄板だろうとも思ってる。