「ホテル・ルワンダ」を見る。
おもしろかったです。
扱っている題材が題材なので、こんなことを言うと不謹慎ですが、「もしも、邦画が今後も泣きムーブメントを続ける気なら、こういう社会問題を絡めた路線を模索するべきなんだろうな」と思いました。なんだか反論しづらい空気の醸成こそが、うるさ型の批評家様方を黙らせる一番の方便でしょうから。
この作品に関しての前情報は、「ルワンダ虐殺を取り扱っている」ってことと「ネット界隈で議論を呼んだ」ぐらいまでしか知りませんでした。
なので、てっきりドキュメンタリーかと思ってたんですが、非常に健全なフィクションだったことと、比較的、最近に見た映画である「宇宙戦争」と構造がまったくおんなじだったので、腰が抜けそうになりました。
以下、気になった点などを羅列。そのうち、まとまった文として改稿予定。
- 主人公の徹底した「普通人」扱いが異常に気になる。彼は自身でも言及しているように、量質ともに一定以上のエグゼクティブ*1なのに、どこまでも等身大の「お父さん=労働者」としてしか描かれない不思議。
- それから、作中での「家族」強調っぷりも異常に気になる。「隣人をどうしますか?」という主題に対して「家族」が絶対的な順位に位置して、「倫理←→家族愛」とか「社会←→家族」の秤にかけられないまま、物語の埒外*2に置かれているので、どうしてもこの辺りの倫理の剥ぎ取り方がひっかかる。この辺りの製作者の(あるいはぼくの)バイアスが、「事実を書いているようで、ウソを描いている」ように見えるし、「ウソはついてないけど、ホントも言ってない」としか思えない。
- こうしたことから、「ホテル・ルワンダ」はよく出来た教育ドラマだったと思う。スタジオジブリとか健全な手塚キャラで子供を純粋培養したい教育者にとって格好の題材といえる。
- 分かっています。恐らくこれは笑ってはいけないのです。そういう作品であることは重々承知しています。
- でも、ジャン・レノが社長役で出てきた瞬間に、「ああ、このキャラは善玉でムテキキャラだ」と判断してしまって「こいつのやることに間違いはない」ということで、気が抜けるのはもう仕方がない反応なのだと弁解させてください。